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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第4章 血のハロウィン


体制を崩している俺に稀咲が手を伸ばしてきた。
だがその手を取らずに俺は叩いてから立ち上がりながらも、コイツ何を考えているんだと困惑する。


「何のつもりだ…」

「一緒に総長を守らないか?」

「は?」

「東京卍會 参番隊隊長・稀咲鉄太。大将はウチの隊と神澤君が責任持って守らせてもらう!」


コイツ…本当に何を考えているのか分からなかったが直ぐに察した。
稀咲は東京卍會がこの抗争で勝とうが負けようがどっちでも良い。

東京卍會が負けたら芭流覇羅に取り込み、勝てばこうやって活躍して成り上がる。
どっちにしろ東京卍會は稀咲な乗っ取る計算だ。


「ちっ、総長にでもなる気かよ」

「稀咲すげー!!」

「新入りがいきなり大活躍じゃん!!」

「あいつ…マイキーを守ったぞ!」

「いいとこ持ってきやがって…」


完全に稀咲は『英雄』扱い。
総長を守った人間として今、稀咲は完全に注目を集めている。
まさしく稀咲の良いように動いているのだ。


「稀咲っ…お前!」

「何をそんなに怒ってるんだ?一緒に守ろうじゃないか…大切な総長を。君の力なら簡単だろ?」

「何考えてる。何が目的だ」

「さぁ?」


微笑みを浮かべるだけの稀咲に青筋が浮かぶ。
害のないようなフリをして、腹の中では何を考えているか分からない。
そんな時である…龍宮寺先輩が叫んだのは。


「稀咲!!よくやった!!」

「え…」

「イズミっち!稀咲と一緒にマイキーを守れ!!マイキーを任せた!!」


辞めてくれ…。
稀咲は、稀咲はこの東京卍會を乗っ取ろうとしているのに辞めてくれ。
そう言いたいのに言えずにただ歯を食いしばることしか出来ずにいた。

そして武道の顔が見えて目を見開く。
この状況に武道は泣いていた…このままじゃ、稀咲の良いようになってしまう事に。


(どうしよう…どうしよう。このままじゃ……)


焦りながらも、俺はその場に膝を着いて倒れている佐野先輩の頬に触れる。
冷たくもなく熱い…ちゃんと生きている証にホッとしながらも、手が震えていた。


「この時を待ってたぜ」


視界が暗くなり聞き覚えのある声が聞こえ、稀咲の方を見れば奴の背後にけーすけくんがいた。
その手には鉄パイプを持っていて、大きく振りかぶっている。


「稀咲ッ!!」

「けーすけくんっ!!」
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