The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
その瞬間佐野先輩を背後から取り押さえていた音が鼻血を吹き出しながら倒れていくのが見えた。
そして佐野先輩は男がしがみついている左足を動かし、その男事足を浮かせる。
「え、オレごと!?」
「へ?」
佐野先輩は男をしがみつかせたまま、羽宮一虎の頭を蹴り飛ばしていた。
自分より体格がある男をそのまま蹴り飛ばしたのは…龍宮寺先輩より化け物である。
すごいという言葉が出てくる前にただ唖然とした。
だが佐野先輩はそのままその場に膝を着いてしまい動きを止めてしまう。
恐らく失神してしまったのだ。
「佐野先輩……佐野先輩!!」
このままじゃ危ない。
あこままにしていれば、他の奴らが絶好のチャンスだと佐野先輩の元に行ってしまうかもしれない。
焦りながら走っていれば嫌な予感は的中してしまった。
「オイ!マイキーが座り込んだぞ!」
「あんだけ血ぃ流して疲れてんじゃねーの?」
「今ならやれるんじゃねーか!?」
「なるなぁ…一虎…」
「オイ動かねーぞ」
「マジでいけんじゃねーのか?」
やばい、やばいやばい!!
芭流覇羅メンバーの言葉を聞きながら、慌てて廃車の山へと向かうが既に芭流覇羅メンバーは失神している佐野先輩を襲おうとしている。
そして1人の男が声を張り上げた。
「テメーらついて来い!!マイキー潰すぞ!!」
「くそっ!!」
「行くぞー!!」
「どけクソ!!」
「クソ!キリがねぇ!」
「半間ぁ!ゾンビかテメぇは!!?」
廃車の山になんとか辿り着き、登るのは良いが足場がかなり悪すぎる。
そして後ろからは芭流覇羅メンバーが登ってきており、蹴散らすが湧いて出てくるものでなかなか佐野先輩に辿り着けない。
「くそっ!蛆虫かよ!!」
蹴散らしても蹴散らしても湧いて出てくる。
蛆虫よりもゴキブリようなものだと思いながら、後ろを振り向けば黒マスクの奴が鉄パイプを持って佐野先輩に飛びかかろうとしていた。
「大将首、殺ったぞコラァァ!!」
「佐野先輩!!!!!」
あと少し…佐野先輩を襲おうとする奴に手が届くと思った時ガングロの肌が見えて落とそうとした奴が殴られた。
そしてそのまま目の前で倒れていくのを見てから、俺は眉間に皺を寄せてからある男を睨みつける。
「稀咲っ……」
「大丈夫か?神澤君」
「は?」