The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「こいつらを守る必要なんてなかったな」
笑みを浮かべながら屈伸運動をする龍宮寺先輩は、ゆっくりと立ち上がった。
そして焦っていた表情は消えており、修二へと視線を向けてから息を大きく吐く。
「攻めあるのみ」
「え?」
「目ぇ覚めたぜ。タケミっち」
「ほえ?」
意識が戻った武道は何が起きているのか分かっておらず、『え?え?』と困惑していた。
自分が周りの人間達の士気をあげて、弱音を吐いていた隊員達を奮わせたなんて思ってもいないのだろう。
「行くぞ半間ぁぁ」
「ドラケンに心配さすんじゃねぇぞオマエらだ!!」
「「「「おおお!!!」」」」
「見てろよタケミっち」
「え?」
「有利になるぞ」
さっきとは全く違う。
あれだけ不利だった筈の東京卍會が芭流覇羅を押していき、さっきとは逆転になっている。
これも全部武道のあの諦めないという叫び声のおかげだ。
だが本当に『どいうこと?』という表情。
何故有利になるのかも分からないという顔に、また三ツ谷先輩と顔を見合せてから笑った。
「え?なんで?」
「オマエがアイツらを奮い立たせた」
「オマエの諦めないっていう気持ちでね」
「ああ、おかげでドラケンが自由に動ける」
「どけぇえ!!」
「アイツは1人で戦況を変える!!」
その言葉通り龍宮寺先輩1人でかなりの戦況が変わっている。
あれだけの道を阻むように立っていた芭流覇羅メンバーは、龍宮寺先輩により散らされていた。
しかも一瞬で10人以上もぶっ飛ばしているのだ。
「なんだコイツ!!?」
「一瞬で10人ぶっ飛ばしたぞ!!?」
「ウソだろ!?」
「バケモンだ!」
「これが東卍No.2、龍宮寺堅!!!」
龍宮寺先輩のあまりの強さに芭流覇羅メンバーは怯んでいた。
でも確かに化け物だ…あれだけいた人間を1人で、しかも時間もかからずにぶっ飛ばしたのだから。
本当にとんでもない人だと、笑っているが俺の頬には汗がたらりと垂れた。
何せもう周りの殆どの芭流覇羅メンバーは倒れているから。
「待たせたなぁ、半間ぁ」
「オイオイ大丈夫かぁー?もー疲れて果てちまってんじゃねーのかぁ?」
「今ぁ、準備運動が終わったトコだ」
「すげぇぇ…」
「バケモンだ…あの人。本当にバケモンだよ」
「うんうん!」
「おいおい…」