The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
蛆虫で合ってるだろ。
ゾロゾロと湧き上がるように現れる芭流覇羅を見ながら眉間に皺を寄せながらそう、心で呟きながらも俺達を庇うように立つ龍宮寺先輩の背中を見た。
「大将が遠いぜ」
そう笑う龍宮寺先輩を見ながら、辺りの奴らを散らしてから修二に近付けば良いのかと…どうやって動こうかと考えている時であった。
「うぉらあああ!!」
「うおっ!」
「かかってこいやテメーら!!!」
「武道!!」
「………タケミっち!?」
声を張り上げていたのは武道であり、両腕をぶんぶんと振り回しながら敵へと突っ込んでいた。
どれだけ殴られたのか…顔中腫らして血も流して痛さのせいなのか、怖さのせいなのか涙も流している。
それなのに敵へと突っ込んでいて、その姿に目を見開かせていれば龍宮寺先輩も周りの人間も驚いた顔をしていた。
だって殆どの東京卍會側の人間の士気が下がり、気持ちで負けているのに武道だけ違うから…。
「ぜってー倒りぇねーじょ。この抗争はオレが終わりゃすんだよ…」
「武道…」
「オレが全員ぶっ飛ばす!!」
武道の叫び声に周りの人間の目が変わり、俺は眉を下げながら小さく笑った。
小さい頃からそうだ…周りが諦めていても、武道は何か目的があれば諦めない。
「やっぱり凄いな…」
小さく笑ってからふらつき後ろに倒れそうになる武道へと手を伸ばして腕を引っ張ってから肩に回した。
そして武道を挟んで隣には三ツ谷先輩がいて、同じように武道を支えてくれていた。
「やるじゃん、タケミっち」
「よく頑張ったな、武道」
半分意識が飛んでいるのだろう。
血だけの顔を見ながら苦笑を浮かべ、制服の袖で口元と鼻周りの血を拭っていれば周りの隊員達がゆっくりと立ち上がっていた。
何かを決意したような表情で、そして覇気のある顔をしながら立ち上がっていた。
隊員達の視線の先には武道が写っている。
「くそっ、情けねー」
「何弱音はいてんだ?オレら」
「倍いようが関係ねぇ!」
「おう、やってらぁ」
「東卍の底力みせちゃうぞ!!」
武道の言葉で士気が上がっている。
まさか周りの人間まで巻き込んでいくもんだから、本当に大した男だよ笑いながら三ツ谷先輩と目を合わせてから笑い龍宮寺先輩を見た。
「ドラケン、もー平気だよ」
「だから俺達を気にしなくても大丈夫ですよ」