The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
芭流覇羅の奴らを散らしながらふと武道の姿がない事に気が付いて、慌てて周りを見渡す。
8・3抗争の時とは比べ物にならない人数のせいなのか、なかなか姿を見つけれない。
「和泉!何探してんの!?」
「武道!」
「武道……武道って確か、幼馴染の…」
「何処に行った…」
過保護と言われるかもしれない。
だけど武道には大きな怪我をしてほしくない…二度と大切な人が大怪我をして居なくなるのは御免だ。
そんな思いをしながら見渡しながら殴り飛ばしたり蹴り飛ばしたりしていれば、見慣れた金髪が見えた。
(武道…って!早速絡まれてるしボロボロ!!)
目の前には2人の芭流覇羅メンバー。
しかも既に殴られたのか顔は赤く腫れているし血も出ているのも見える。
行かなければ…そう手を伸ばした時だ。
「ビビってんのか?」
「あ…」
「正面の敵だけ見てろ、相棒」
「千冬…!!」
「背中はオレが守ってやる!喧嘩にビビんねぇ奴なんていねぇよ。大事かのはさぁ、どう向き合うかだ!!」
武道の背後に背中を向けた千冬がいた。
まるで武道の背中を守るように…いや、守る為に立っている事に気が付き唇を無意識に噛んだ。
そして武道は何かを考えたかと思うと拳を強く握り締め、殴りかかって来ようとする芭流覇羅メンバーを涙を浮かべながら殴った。
「だああああ!!!やってやるぞバカヤロー!!」
「シシ!!」
その姿を見て逞しくなったなと思ったのと同時に寂しくも思えた。
周りから『お前は武道に対して過保護すぎる』と幾度なく言われ、自分でも自覚するぐらいだった。
俺が守らなきゃ…そう思っていたが、武道は守らなくても戦える。
(喧嘩賭博の時…いや、ずっとその前から小さい頃から知ってた。武道は守らなくても、俺がいなくても大丈夫なのは)
そして背中にいるのは俺だけじゃなくても良いのを…分かっていた。
武道の背中を守ってくれるのが増えたのは喜ばしい…だけど、やっぱり寂しいものだ。
「俺が守らなくても、大丈夫か……」
ボソッと呟いてから、武道は千冬に託してから俺はけーすけ君を探す事にした。
辺りを見渡し成る可く三ツ谷先輩から離れない距離で、芭流覇羅メンバーを散らす。
だが最悪な状況だ。
東卍よりも遥かに人数と戦力がデカい芭流覇羅に、東京卍會は押されていた。