The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
千冬の目線の先には三つ編みをした男と、眼鏡をかけた男が廃車の上に座っていた。
気だるそうな暇そうなそんな瞳をしており、周りには男達が立っている。
「百人……?」
「ん……?あの男達何処かで見たような……」
「和泉、灰谷兄弟見た事あんのか?」
「……ん〜……」
「和泉、お前興味無くなると忘れるよなぁ」
和泉は興味が無くなればクラスメイトだとしても忘れてしまうぐらいの人間。
なので灰谷兄弟の顔を見ていたとしても忘れているのだろう……と武道は溜息をついた。
だが気になるのか引っ掛かるのか、和泉は眉間に皺を寄せながらも首を捻っていた。
そんな彼女を見ながら千冬は違う所へと視線を向ける。
「で、あそこのデブ。車の上の」
「ん?」
「上野仕切ってる“ガリ男”。バケモンみてぇに強えーらしい」
「へぇ……」
ハンバーガーを食べている男を見上げながら、和泉は灰谷兄弟へと目線を向けたが直ぐに興味が薄れたのか直ぐに視線を外してから辺りを見渡した。
すると1人の特攻服を来た男が中心へと歩いていく。
「ははー!!お祭りだなあー」
「ん?」
「東卍と芭流覇羅がなんぼのもんじゃい!」
「お疲れ様です!」
「オレが今日の喧嘩を仕切り任されてるICBM(池袋クリミナルブラックメンバーズ)の反泉だ」
「仕切り……」
そういえば、黒龍や鳴海が総長を勤めていた朱雀とかの抗争でも仕切りがいた事を和泉は思いだす。
たまに仕切りなのに敵のチームと間違われて殴られていた事を思い出して笑いそうになる和泉は内側の頬を噛む。
「S63の大物!アイツが今日の“仕切り”だ」
「“仕切り”?」
「レフェリーみてぇなモンだよ。反泉も灰谷兄弟も“ガリ男”も今日は大人しくしてっけど、本来東卍とバチバチのやべぇ奴らだ」
「ま、今日は観戦だから余計な事をせずに大人しくしてるってだけか……。もし芭流覇羅との抗争がなきゃ大騒ぎだろ?」
「ああ……大乱闘だ」
2人の会話を聞いた武道はゴクリと息を飲む。
本当にこんなヤツらがおとなしくしてるのだろうかと……大丈夫なのだろうかと不安になった。
「準備はいいかー!!?」
「始まるな」
「ああ。芭流覇羅との抗争が始まる」
「緊張してきた……」