The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
それだけを言い残すと、和泉は半間に背中を向けて歩き出したその場を去った。
恐らくあの言葉を聞けば羽宮一虎は自分を狙うだろうが……それで良い。
(けーすけくんが……羽宮一虎に殺されなければ)
羽宮一虎が自分だけを狙えば、場地は一虎に殺される可能性は少なくなるかもしれない。
そう思いながらも和泉の中では不安と嫌な予感のようなものでいっぱいだった。
「……嫌な予感がするな」
ボソリと呟いた和泉は眉間に皺を寄せてから、ゆっくりと歩き出す。
どうかこの嫌な予感が気の所為でありますようにと願いながら……。
❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈
ー東京卍會・決起集会ー
「和泉……場地さん連れ戻すの失敗した」
「は?」
「抗争始まる前に、連れ戻せねぇかなって思って相棒連れて場地さんと会ったけど無理だった」
「そっか……。やっぱり抗争中に無理矢理でも連れ戻すしかないのかな」
決起集会が行われえる数分前。
集会場でもある武蔵神社に来た和泉は千冬により、場地を連れ戻す事を失敗した事を告げられた。
どうも簡単には場地を東京卍會には連れ戻せないらしい。
「はぁぁ……」
「どうした?長い溜息して」
「あ……武藤先輩」
「芭流覇羅の奴らに襲われたらしいな。怪我、平気なのか?」
「平気ですよ。ていうか……知ってたんですね」
「マイキーから聞いた」
ムーチョ達幹部と隊員全員は、マイキーより『イズミっちが芭流覇羅に襲われた』という連絡を受けた。
まだ東京卍會に入ったばかりの和泉が襲われた事は、幹部達も勿論隊員達も驚くばかりだ。
その話を聞いた和泉は先程から視線を感じるのはそのせいだったのか……と納得した。
ウザったい視線に眉間に皺を寄せながらも包帯を少し撫でる。
「和泉ー!!!」
「うわっ……うるさいの来た」
「怪我したって!!包帯巻いてるし!!千冬と並ぶと更に痛々しい!!」
「おい、オレと並ぶってなんだよ…」
「その怪我で抗争出来る!?大丈夫!?」
「腕とか手を怪我してる訳じゃないから平気だ」
騒ぐ八戒に溜息を付けば、ふと視線を感じる事に気付き和泉はその視線を辿ると三途春千夜の姿があり彼は和泉を眉間に皺を寄せながら見ていた。