The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
静かに手を伸ばしたマイキーは和泉の額に巻かれた包帯に触れた。
傷に触らないように、まるで壊れ物に触れるかのように触れたマイキーの目は何処までも真っ黒だ。
「一虎……」
「佐野先輩、俺は大丈夫ですから……」
大丈夫だからその殺気を消して、一虎へと向けないでくれ。
口には出せずに和泉はただ心の中で呟きながら、ただただ祈るしか出来なかった。
その殺意が一虎に向かないようにと。
そして5人は病院から出て、和泉は痛む額を抑えながら息を深く吐いた。
兎に角傷が痛むが……この姿で本家に帰れないだろう。
(何時も父さんは、俺が分家に行くと俺が帰ってくるまで起きてる……でも、帰ってこなかったら寝る。前に帰らずに居たら寝ていたみたいだし何も言わなかった)
家に帰らない事は何も言わない親だ。
だが怪我に対しては酷く敏感であり、もしこのまま帰れば怪我について聞かれて下手したら自由に動けない。
「帰れないな…今日は」
「……家に帰らないのか?」
「これ…父さん達に見られたら面倒くさい事になるだろうかな。早朝に一旦帰ってからなるべく鉢合わせしないようにしなきゃな」
「じゃあ…家来るか?」
「三ツ谷君!是非!!和泉を家に連れて行ってください!!」
聞かれた本人よりも早くき武道が答えた為、和泉は目を見開かせていた。
なんでお前が返答するんだよ!!と思いながら、口を開こうとしたがそれよりも先にまた武道が話だす。
「多分和泉の奴、怪我の薬とかもちゃんと塗らねぇし病院もちゃんと行かないだろうから…三ツ谷君監視も含めてお願いします」
「いや…三ツ谷先輩にそれは頼まなくても」
「じゃあ、ちゃんと病院行ったり薬塗ったり怪我放置しないわけ??」
「うっ……」
「放置するだろ」
「……シマス」
反論が出来なかった。
何せ全て図星なのだから…良い例として8・3抗争での傷を放置したせいで傷跡がくっきりと残っている。
ちゃんと薬や通院をすればそんなに残らなかっただろうにと医師に言われたぐらいだ。
今回も同じように放置するだろう…と長年の付き合いである武道は見抜いていた。
だが三ツ谷といればちゃんと傷に薬を塗るだろうし、通院もするだろうと武道は思ったのだ。
「んじゃ、やっぱ連れて帰った方が良いな」