The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「そ、それより和泉!びょ、病院行こう……血がっ」
「あ……すごい、垂れてきてる」
「ハンカチ間に合ってねぇじゃんか!!早く病院行くぞ!!」
たらり…と垂れた血はもうハンカチでは吸収出来なくなってしまっていた。
慌てて武道達は和泉を連れて夜間でも診察をしている病院を調べるとそこへと駆け込んだ。
和泉を連れていけば、看護師達は目を見開かせて直ぐに診察室へと。
かなりの出血ぐらいだから下手すれば入院かもしれない…そう看護師が話しているのを聞いて武道は青ざめた。
「タケミっち…大丈夫?あれなら先帰って良いんだぞ。顔色悪ぃ……」
「帰れません……和泉、あんな…血が……どうしよう。何かあったら……どうしよう」
「……タケミっち」
「オレ、庇おうと思ったのに…結局怪我された…オレ…」
「タケミっちが、あの時和泉に飛びついてなかったら…あの怪我じゃ済まなかった」
「……三ツ谷君…」
「よく動けたよ、タケミっち。すげぇよ…」
あの時三ツ谷は動けなかった。
武道が和泉の名前を呼んだ時、鉄パイプを持っているのが近付いていると分かっていたのに足が直ぐに動かなかったのだ。
(もう少しで和泉は大怪我する所だった……なのにオレは、オレは動けなかったっ……)
歯が砕けそうなぐらいに噛み締めた三ツ谷の腕は少しだけ震えていた。
すると後ろからガラッ…と扉が開く音が聞こえ、反射的に全員が振り返る。
「お大事に」
「ありがとうございました」
診察室から出てきた和泉は額に包帯を巻いていた。
その包帯は痛々しく、武道は泣きそうな顔をしながら唇を噛み締めて走り出すと彼女に抱き着いた。
「武道……」
「うっ…ぐすっ…ひっ、うっ」
「泣くなって……」
「ごめん…ごめんんんんんっ!!!」
「大号泣だな…タケミっち」
「うわぁぁぁぁんっっ!!」
大号泣な武道はただ、和泉に怪我をさせたという悲しみだけで泣いている訳では無い。
これでマイキーは恐らく一虎への殺意が湧き始める筈…止められなかった事に泣いたのだ。
「怪我……大丈夫か?」
「意外と傷が深かったみたいです…。跡が残るだろうって」
「跡……残るんだ」
「佐野先輩……?」