The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
叫んだ武道の声に振り向いた和泉の視界には、こちらに走ってくるバイクとそれに乗って鉄パイプを持った芭流覇羅の服を着た男達。
「あ……」
鉄パイプが目の前に来る。
もう目と鼻の先に迫っていた鉄パイプがぶつかると思った瞬間、武道が和泉の体に飛びついていた。
そして後ろに倒れる前に、鉄パイプの端が和泉の額を掠る。
「和泉!!タケミっち!!!」
「テメェら!!芭流覇羅か!!!」
「イズミっち!タケミっち!大丈夫か!?」
マイキーと三ツ谷は、和泉を殴ろうとしたバイクに乗っていた芭流覇羅のメンバーとライトを付けて目をくらまそうとしていたのを捕まえていた。
そしてドラケンは倒れ込んだ2人の元に急いで向かうと、武道は直ぐに飛び起きてから倒れている和泉を見て顔を真っ青にさせた。
「和泉……ち、血が……間に合わなかった?…和泉!!!和泉!!!」
「おい、救急車呼べ!!」
「イズミっち怪我してる!?」
「頭から血が出てる!!」
武道の下敷きとなっている和泉の頭からは血が流れていて、頬までを赤く染めていた。
守ろうとしたのに助けられなかった…武道は顔を青ざめさせながらも荒く息をして瞳に涙を溜めた時…。
「救急車は、呼ばなくていいですよ……」
「和泉!で、でも血が!」
「額切っただけだから……」
「え?」
「鉄パイプの端っこで掠った……。チッ…結構痛いな」
むくりと起き上がった和泉は額を抑えてから、手を見ればべっとりと血が付着していた。
鈍い痛みに舌打ちをしたいれば、芭流覇羅メンバーを取り押さえていた三ツ谷がすぐさま駆けつける。
「和泉!!本当に頭殴られてねぇのか!?額切っただけか!?」
「切っただけですよ…」
「ちょっと見せてみろ!」
切羽詰まった声をしながらも三ツ谷は和泉の頬を両手で挟むと血が流れ出す額を見る。
確かに殴られた訳では無いがパックリと切れた傷からは、とめどなく血が溢れていた。
「血がすげぇな…やっぱ救急車呼んだ方が良いんじゃねぇか?コレ……」
「いや、救急車呼ぶ程じゃないですよ…」
「取り敢えず…和泉、ハンカチで傷んとこの額抑えとけ」
「はい…」