The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
ー三人称ー
食事会という名の分家の飲み会。
三ツ谷はまるで宴会だなと思いながらも、隣で本家に彼を会わせるか会わせないかで悩んでいる和泉へと視線を流した。
悩んでいる理由は大抵分かる。
先程、この家の当主である祐介に『本家は家柄や家に対してどれほどの利益をもたらすか。そう考え方があるからかなりめんどくさいぞ』と言われてた。
(家柄か…オレんとこは母子家庭だし、良い家柄って訳でもねぇからな。なんか言われるかもだけど…)
その程度で諦めるくらいの『好き・愛してる』という訳ではないのだ。
むしろ上等だと笑いながら三ツ谷は和泉の殴られた跡を優しく撫でる。
「な、なんですか……?」
「いやぁ…上等って思って」
「何に??」
「本家に?」
「流石不良……」
「和泉もだろ?」
2人でクスクスと笑っていたが、その後三ツ谷は他の親族に連れていかれてしまい和泉は1人で寿司を頬張った。
すると酔っているのか顔を真っ赤にさせた分家当主であり、和泉の父親の従兄弟である祐介が隣に座る。
「その頬は、勝昭だろ」
「ん〜?なんで?」
「勝昭かって玄関先で聞いた時、お前の目が揺れたからな。歳を食えばそのぐらい分かってくる」
「歳食ったら老眼になるからわかんないだろうに…」
「なんで殴られた?理由によったらオレは本家に突撃するぞ」
「しないで良いよ…。……ちょっと、父さんの機嫌を損ねる事を言ったからかなぁ」
「その時点でおかしいんだけどな」
これは話を聞いてたら長くなるな。
和泉は寿司をジュースで流し込んでから『トイレ』と言ってからその場から立ち上がった。
そんな彼女の後ろ姿を見た祐介は『逃げたな…』と溜息をついた。
小言から逃げた和泉は深い深い溜息をついてから、縁側に座り未だに痛む頬を撫でる。
痛いなぁと思っていれば後ろで足音がした。
「兄さんから逃げたでしょ?」
「由香さん…。だって祐介おじさん小言が始まったら煩いし終わらないんだもん」
「確かに。でもね、兄さんも和泉が心配なのよ……実の娘のように可愛がっているし、悔しいのもあるのよ。貴方を守る事が出来ない事を」
「気にしないで良いのに……」
「私も悔しいのよ…。もし出来るなら勝昭から貴方を奪いたいもの!」