The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「私、嬉しいわ」
「ん?」
横に座ったのは、祐介おじさんの妹…つまり父さんの従姉妹になる由香さん。
嬉しそうに微笑みながら、俺と武道の前に炭酸ジュースが入ったグラスを置いてくれた。
「和泉が、彼氏を連れてきてくれたこと。貴方が好きって思える人が現れて嬉しいの」
「そっか…。喜んでもらえたの、俺もすごく嬉しいよ。本家じゃ…こうはならないから」
「まだ紹介してないの?」
「してないよ…。というか、三ツ谷先輩達にはあの人達に会って欲しくない」
きっと会えば三ツ谷先輩にな嫌な思いをさせてしまう。
だから絶対に会わせたくないけれど、だけど恋人がいるという話をしなければ勝手に婚約者とか決められそうだしなぁ…紹介した方がいいのかもしれないけど。
だけど父さんや母さん…周りの親族はなんて言うだろうか。
家柄第一であり、家に有利な家庭と結婚しろという思想もあるぐらいだ。
「オレは、和泉の両親と会いたいな」
「え…び、ビックリした…三ツ谷先輩解放されたんですか?」
「ああ……すげぇ、質問攻めされた」
後ろに立っていたのは三ツ谷先輩で、少し疲れた顔をしながら隣に座った。
すると由香さんは『あらあら、お邪魔ね』と笑いながら武道を連れて何処かに行ってしまった。
「会わなくて良いですよ…というか本家の人間とは会わせたくないんです……」
「なんで?」
「……きっと、三ツ谷先輩に何か言うだろうから」
「オレは平気だけどな」
「俺が平気じゃないんです……」
傷付いてほしくないのだ。
三ツ谷先輩には…本家の人間からの心無い言葉に傷付いてほしくない。
だから会わせたくないけど……。
「何言われてもオレは平気だ。もし別れろって言われても、認めてもらうまで頑張るつもりだから」
「三ツ谷先輩…」
「て事で、今度会いに行っていいか?和泉のご両親に」
「……本気で会うつもりなんですか?」
「会う。でも正直すげぇ怖いとは思ってるから、情けないけどその時は和泉が隣に居てくれねぇか?」
緊張したように苦笑いする三ツ谷先輩はギュッ…と俺の手を握ってきた。
その手には本当に緊張しているせいか冷たくなっていて、俺より冷たいかもしれない。
「にしても、分家の人達って賑やかだな」
「賑やか過ぎてうるさいですけどね」