The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
懐かしいと共に面倒臭い事になりそうと思うと溜息しか出なくて、俺の気持ちを察したのか武道は苦笑している。
分家は愉快だし楽しいが本家以上に関心を持たれているから面倒な所もあるかもしれない。
「ま、て事で行きましょうか。遅かったら遅かったでうるさくなるし……」
「タケミっち。イズミっちの分家の人間は大丈夫なのか…?」
「あ、全然大丈夫っすよ!うるさいだけで」
「「「うるさいだけで……」」」
微妙な顔をしている先輩達に笑いながらも、分家へと向かう為に歩き出した。
道中寒い風に頬を撫でられてヒリヒリと痛むのが強くなるが、何時治るのだろうかと撫でる。
「というか、タケミっちは何で周りを警戒してんだ?」
「え?あ……いや…」
「あ、自動販売機」
「あ?」
「あ…ああ!自動販売機!和泉、水買おう!」
話を逸らす為に自動販売機を指差すと、武道は『助かった』と言わんばかりに走っていく。
そして直ぐにペットボトルの水を持ってきたが未だに焦ってた顔のまま。
まぁ言えるわけないよな。
未来で俺が襲われるから警戒してる…と言えば普通に変人扱いされるだろうし。
「ありがとうな、武道」
キャプを開けてから水を含んでから、口の中をゆすいでから吐き出す。
水の中には赤黒いのが混じっていて気持ち悪い色をしており、口の中は水のせいでヒリヒリと痛む。
「鉄錆の味無くなった?」
「だいぶ」
「ちょっとイズミっち、口開けてみろ」
「え、ふぁっ…ひょっ!」
龍宮寺先輩に口を引っ張られて、口の中を覗くように見てくるのだが引っ張られている口が痛い。
そして覗くように見られてから龍宮寺先輩の眉間には皺がグッ…と寄る。
「だいぶ切れてんな…。ビンタって言ってたけど、結構な力で叩かれたんだな」
「ふぉうへふね(そうですね)」
「ちょっと見せてくれ」
「ひふはへんぱい(三ツ谷先輩)?」
口を覗かれてから、三ツ谷先輩は両手で頬に触れてくる。
痛まないように撫でてから、心配そうにするその顔に胸がズキッと傷んだ。
なんで頬ではなく胸が痛むのだろうか。
訳が分からなくて、その痛みから逃げるように三ツ谷先輩から顔を背けた。
今は三ツ谷先輩の顔を見ると何故か胸が痛い。
「そろそろ行きましょう…遅くなったら、うるさいだろうから」