The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「いや、言わなくてもバレるって」
「まぁ…いっか。口の中血の味して気持ちわりぃ」
「途中、自動販売機で水買ってゆすぐ?」
「そうしようかな」
でもその前にと『ぷっ』と口の中にある血を吐き捨てた。
アスファルトには赤黒い血が落ちていて、結構切れたのかなと口元を拭う。
「さてと、行こっか」
「ざっくり切れてる?」
「多分ね」
さぁて分家に着いたらなんて言い訳をしようか。
暗い中歩きながら考えながらも、辺りを見渡してから警戒をする。
武道に忠告してもらったのにこれで襲われたら意味が無い。
すると武道もキョロキョロとしていた。
緊張したような顔で辺りを見ていて、警戒しているんだろうなと思いながら無言が続く。
「あれ?和泉とタケミっち?」
「え?」
「え?え?あ!三ツ谷君、ドラケン君にマイキー君も!」
「よ!」
「2人で何してんのー?」
声をかけられたと思えば、目の前には佐野先輩に龍宮寺先輩…そして三ツ谷先輩がいた。
佐野先輩だけ特攻服でどうしたのだろうと首を傾げていた瞬間、三ツ谷先輩が目を見開かせていて頬に触れてくる。
「どうしたんだ!?この怪我!」
「え、あ……あ〜、ちょっと…」
「なに…誰かに殴られたのか?」
「相手誰?殺してこようか?」
「いやいや、大丈夫ですよ…」
流石に父親に殴られました…なんて言えない。
チリチリと痛んで腫れた頬を隠すようにすれば、三ツ谷先輩に手を取られた。
じっ…と頬を見られてから眉間に皺を寄せた。
怒っているような、そんな顔をしているが瞳は心配の色で埋め尽くされている。
「誰にやられた?」
「すみません…それは、言えません…」
「なんで?」
「それは……」
言えるわけないじゃないか。
なんて思いながら、目を逸らしていれば三ツ谷先輩がもっと怒った顔をしている。
いや、三ツ谷先輩だけではない…佐野先輩と龍宮寺先輩もであり口をモゴモゴと動かす。
「和泉、父親から殴られたんですよ」
「武道…!」
「父親って…イズミっちのか?」
「はい。元々和泉の父親は、こいつが逆らったりしたら殴ったりしてたんですよ。父親だけじゃない…他の親族も」
「虐待じゃねぇか……」
「と言っても、今はほとんど殴られてませんよ?昔の話ですよ、昔の」