The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「分からないな…」
溜息を零してから、部屋を出ていき分家に行く為に廊下を歩いていると最悪な人物が立っていた。
腕組みをしてこちらを睨めつけるように見てくる父さん。
何でいるんだよと思いながら溜息をつく。
今日は夜まで仕事じゃなかったのか…なんて考えながら横を通り過ぎようとした。
「分家に行くのか?」
「前から約束していたので…」
「何故あんな連中の所に行くのか分からないな」
一応分家には自分の従兄弟もいるのにその言いようかよ…と心の中で悪態を着きながらさっさと通り去ろうかと思いながらふとある事を思った。
(俺はやっぱり女でいる事は無理なのだろうか……)
三ツ谷先輩は『男装しているままでも良い』と言ってくれた。
でもやっぱり女として隣に立つ方が良いのだろうか…女として傍に立ちたい、ありのままの姿で居たいという欲求が膨れている。
「父さん…一つ、聞いて良いですか」
「なんだ」
「俺はどうしても女として生きることは無理なのでしょうか。女として生きることを望んではいけませんか?」
そう聞いた瞬間パンッ!!…とまるで風船が弾けたような音が廊下に響き渡ったのと同時に、じわりと頬に痛みが広がっていき口の中に鉄錆の味がした。
「お前は女として生きれない、生きてはダメだって分かっていて発言したのか?」
「冗談ですよ…父さん。馬鹿げた質問をしてすみませんでした」
痛いな…。
頬がヒリヒリする…久しぶりに痛いのを食らったと思いながら玄関へと向かい頬を摩り外に出れば、キョロキョロとしている武道がいた。
「あ、和泉……って!どうしたんだよその頬!!」
「父さんから食らった」
「は!?ていうか、口から血…」
「久しぶりに痛いの食らったぁ……」
「笑い事じゃねぇから!頬腫れてるし…」
なるほど、腫れているからこんなに痛いのか…と笑っていれば武道目が釣り挙がっていた。
そういえば昔から武道は俺が親族に手を挙げられていると怒ってくれた。
昔も、俺がまるで親族に人形のように扱われていた時は『#和泉はお人形さんじゃないんだ!』って怒ってくれたり何度も助けてくれた。
「ありがとうな、武道」
「なんで急に礼を??」
「なんとなく?あー…でもこの腫れたまま行ったらおじさん達騒ぎそうだなぁ。言わなきゃバレない?」