The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
ボロ泣きの武道を見て、和泉は呆れたような顔をしたが直ぐに柔らかい笑みを浮かべて涙を拭う。
相変わらずこの幼馴染は泣き虫だし、未来の12年後の大人の武道なのに泣き虫は治らないんだなぁと笑った。
「どうした?」
「ズビッ……」
「とりあえず、武道の家行こう。お前こんな往来で抱き着いて泣いてたら…笑われ者だぞ」
「……はっ!!」
往来で泣いている事にやっと気が付いたのか、慌てて涙を拭いながら辺りをキョロキョロと見ている武道に思わず和泉は吹きそうになるが頬に内側の肉を噛んでから我慢する。
ここで笑えば恐らく武道は恥ずかしさでまた泣くだろうから。
そして武道は涙をなんとか止めて拭ってから、和泉と共にそそくさと家の中に入ると自室へと向かいそんな彼の後ろ姿を見ながら和泉は眉間に皺を寄せていた。
(泣いてたって事は、もしかして1回未来に帰って何かあったりしたのか……?昨日は武道と会ってなかったし)
疑問を感じながらも、部屋に入ってから和泉はラグの上に座り未だに涙で潤んだ瞳をしている武道を見る。
こういう時は急かさず本人が話せるようになるまで待つ。
「オレ、昨日未来に1回戻ったんだ」
「うん…」
「そして、拘置所に行ってドラケン君の話を聞いてきたんだけど……未来の東京卍會は芭流覇羅に乗っ取られて出来た東京卍會だって」
「芭流覇羅に乗っ取られた!?」
「そして芭流覇羅はマイキー君の為に作られたチーム」
「……佐野先輩の為に作られたチーム」
武道はゆっくりと声を震わせながら、聞いた事や知った事を全て和泉に話していく。
未来で知った内容は和泉にとっても残酷な物であり、話終えた時には彼女の顔は強ばり絶望に染っていた。
「けーすけくんが…次の抗争で羽宮一虎に殺される…?けーすけくんが………そんなの、嘘だ…なんで…」
「オレも分からない。だけど、マイキー君はそれが原因で一虎君を殺しちまう。それに一虎君は和泉を殺そうとしたらしいから…」
「俺を……」
「それと…未来に戻る前に長内君に話を聞きに行ったんた」
「長内?」
「愛美愛主の元総長」
「……ああ」
「それで長内君が総長になったのは、稀咲が居たから…。だけど稀咲は長内君をただの踏み台にしてたんだ」