The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
相談役として東京卍會にいた。
そんな事を彼女は生前一切言っていなかったのと同時に、武道を殺すと脅されていたのも言ってない。
言い忘れただけか?いや、そんなわけが無い…恐らく彼女はわざと言わなかったのだ。
「和泉はずっとオレを守ってくれて、オレの代わりにマイキー君を止めようとしてくれてたんだな…自分の命だって危なかったのに」
「……和泉さんにとって、それだけタケミチ君が大切なんでしょう」
「うん…だからオレも和泉を守る!」
「…場地圭介と和泉さんを守る!!それが今回のミッションですね」
「ああ!」
「龍宮寺堅の時といい、ボクたちこんなのばっかりですね」
「そろそろキメねぇとな!!」
くよくよとしていた武道の顔が変わった。
何時もは情けない顔をしている彼だが、こういう時だけ大人の顔をするのだ。
それが直人はたまに驚かされる。
そして同時に彼の言葉に驚かされるばかりだ。
今回のミッション…そう簡単に行くものではないだろうに彼は簡単に『そろそろ』と言ってしまう。
「“そろそろ”か…簡単に言いますね。大変なミッションなハズなのに」
「ん?」
「実は君はすごい人なのかもですね!」
微笑みを浮かべる直人に武道はキョトンとした。
褒められた事に少し嬉しく思っていれば、直人は手を差し出してくる。
「頑張ってきて下さい!」
「お…おう!行ってくるぜナオト!」
握手を交わせば毎回同じように心臓が強くなる。
ドクン…と鳴る音と共に司会は暗くなり、武道は見覚えのない光景の一つである血まみれのマイキーの姿を思い出した。
(マイキー君…和泉、場地君は絶ッ対ェオレが守る!)
暗くなっていた視界が明るくなる。
過去に戻ってきた…そう思った時目の前には日向の横顔と彼女を照らす夕日があった。
「送ってくれてありがと。ちょっと待ってて」
「あ…うん」
まさかの不意打ちの日向に驚きながら、学校帰りなのだろうかと思い驚いている自分をなんとか落ち着かせる。
そして暫くすると日向は白い紙袋を持って戻ってきて、頬を赤く染めながら武道に渡して恥ずかしそうに笑った。
「ハイ、プレゼント」
「え?」
「コレ、渡したかったんだ!」
「なんかの日だっけ?開けていい?」
「うん」