The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
何度も撫でられる度に目尻が熱くなった。
泣きそうになっていると自分で分かるけれど、なんとかそれを耐えてから息を飲んだ。
泣いたら弱い自分が出てきてしまいそうだから。
「……ていうか!話変わるけど、三ツ谷オマエいつの間にイズミっちと恋人になった訳!?オレ聞いてねぇんだけど!」
「言い忘れてた」
「オレ認めてねぇんだけど!?」
「なんでマイキーに認めてもわらねぇといけねぇんだよ」
「オレが総長だから」
「は?ふざんな」
暗い空気がガラリと変わる。
佐野先輩が話を逸らしてくれたおかげであり、正直それが凄く助かった。
あのまま暗い空気だと自分から話したくせに俺が耐えられなくなってしまうだろうから。
それにしても、この部屋に武道やタクヤとか修二以外に入れたの久しぶりかもしれない。
幼馴染組はよく来ていたが最近俺が入れてなかったからなぁ……。
「三ツ谷……イズミっち泣かせたら殺すから」
「なんでマイキーに殺されなきゃなんねぇんだよ」
「だってオレ、イズミっちの兄貴だから」
「「は??」」
「なに、その訳分からねぇみてぇな顔」
「いや、訳分からねぇからこういう顔してんだよ。どういう意味だよイズミっちの兄貴って……」
「そのまんまの意味」
「いや、分かんねぇって」
確かに意味は分からないだろう。
急に血縁関係でもないのに『兄貴』と言われても、普通なら三ツ谷先輩は龍宮寺先輩のような顔になる。
でも佐野先輩も訳分からんみたいな顔をしていた。
「オレ、鳴海と昔約束したんだよ。イズミっちの良いお兄ちゃんになるって。だから兄貴なの」
「あ〜……よく分かんねぇけど成程な。でもお前兄貴っていうより弟みてぇだよな」
「確かに」
「はあ!?」
賑やかだな……。
なんだか真一郎君と鳴ねぇが生きている時のようだと、そう錯覚してしまいそうなぐらいだ。
懐かしい記憶が蘇りながら目の前で騒ぐ三人を見て笑った。
そして何時の間にか嫌な記憶わ思い出し、苦しかったのも消えて無くなっていた。
不思議なものだなと思いながらどんどん時間が過ぎていった。
「そろそろ帰るか。雨が酷くなる前に」
「えー!もう帰んの?」
「というかお前!エマにお使い頼まれてんだろ!ほら行くぞ!悪ぃなイズミっち。長居しちまって」
「大丈夫ですよ」