The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
あの時の光景は忘れない。
みるみると血溜まりが出来て、ナイフを引き抜いた秋にぃは血だらけになっていた。
そして直ぐにお手伝いさんが駆け込んできて大騒ぎになり、その場で叔父は即死を確認され秋にぃは警察へと連れていかれたのだ。
「俺が叔父を誘惑した挙句、殺したんだって言われました。そして秋にぃを不幸にしたと……。最初は違うと思ったけど何も違ってなかったかもしれない……っ。結局俺は3人も見殺しにして、1人を不幸にさせたから……」
話していて段々と苦しくなった。
顔は俯かせて、震える手をなんとか止めようとするが体は言う事を聞いてくれない。
今も3人が死んだ光景は色濃く残っていて、あの日犯されそうになった時の光景も忘れることが出来なかった。
そのせいで男に無理矢理押し倒されたり、触れられようとされると怖くて吐きそうにもなったりした。
だから青宗の時も佐野先輩時も怖かったのだ。
「今、秋にぃは林田先輩と同じ少年院にいます…」
「だからあの時、少年院から出てきたのか」
「はい。あの時はまさか龍宮寺先輩と三ツ谷先輩がいるとは思わなくて驚きました…」
「……でも、全部イズミっちのせいじゃないじゃん。全部、イズミっちは辛い目に合ってるだけじゃん」
「……親族は、俺の事が気に食わないんです。この家は当主の子である長子は男じゃないといけないという馬鹿げた決まりがあるものだから……当主の長子なのに女として生まれた俺が気に食わないんです」
馬鹿げているとは思う。
だけど古くからの決まりがあるせいなのか、本家親族達は長子であり女である俺を散々貶した。
時には手を挙げてくる事もあったが、俺がなかなか屈しないいせいなのか更に酷い時もあったりしたものだ。
「3人も見殺しにしたなら、その罪は当然受けなければならないと言われて俺は罪を償う為に跡取りにならないといけない……秋にぃが出所した後に家に戻ってこれるようにも」
「戻ってこれるようにも?」
「親族達が、秋にぃを勘当しろって父さんに言ったんです。だけどそんなの嫌で……勘当は辞めてくれと懇願した時に父に『跡取りになり、男装もして家から逃げないと約束出来るなら』と言われたんです」
俺がこの家から逃げないように、そうやって縛りを作って逃げれないように俺は『罪人』であると刷り込んできたのだから凄いと思う。
