The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「じゃあ、俺も無理だよ。俺は俺自身の罪を償って、家を継がなきゃならないんだから」
「何時まで……囚われてんだよ」
「何時までもだよ…」
俺は何時までも自分自身の罪と罪悪感に囚われ続ける。
それはもう覚悟しているし、仕方ない事だと分かっているから抗わないのだ。
人を見殺しにした報いを受けなければならない。
「馬鹿だなオマエは」
「けーすけくんには言われたくないよ」
「……じゃあ、オレはもう行くからな」
「ホントに東卍には戻らないの?本当に佐野先輩と敵になって、佐野先輩を殺すつもりなわけ?」
「さぁな」
けーすけくんは振り返らずにそう返事をすると歩いて行ってしまった。
人の心荒らすだけ荒らして消えていくなんて、どんだけ狡くて酷い男なんだよと乾いた笑いしか出ない。
確かにけーすけくんの言う通りだらけで、自分が馬鹿らしく思えてきて傘の持ち手を強く握り締める。
その時風の匂いに混じって、知っている香水の匂いがしてきた。
(この匂い……)
墓地のしげみから匂いがする。
そう思いながらしげみに近づけば、3つの屈んでいる体が見えて溜息をこぼした。
「何してるんですか?三ツ谷先輩、佐野先輩に龍宮寺先輩」
「……バレたか?」
「なんでバレた!?」
「上手く隠れてたつもりなんだけどな…」
「龍宮寺先輩の香水の匂いがしたんですよ」
しげみを覗けばやはり香水の匂いの元である龍宮寺先輩、そして三ツ谷先輩と佐野先輩が隠れるようにしゃがんでいた。
なんでここにいるんだよとまた深く溜息をつけば、申し訳なさそうに3人は立ち上がる。
「なんでここにいるんですか?」
「いや、実はさっきまでシンイチローの墓参り行ってて…鳴海の墓参りにも行こうかってケンチンと話して。んで道中三ツ谷と出くわして、そしたらイズミっちと場地が…」
「……話、聞いてましたか?」
「…ごめん、盗み聞きするつもりは無かったけど」
「別に良いですよ…」
聞かれて困るという訳じゃなかったけど…あまり聞いて欲しくなかった話もあった。
この3人は知らないだろうから…俺が言っていた『見殺しにした』というものが。
「イズミっち、見殺しって……」
「……ここで話すのもアレですから、家に来ますか?」
「え?」
「どうせ今、本家の人間全員出払ってますから」