The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「………女として一緒にいれないけど…」
「女としていればいいじゃねぇか」
「………え?」
知っている声が聞こえてき、驚いて思わず後ろを振り向けばけーすけくんが立っていた。
傘を持って冷たい目をして俺を見下ろしている彼の姿に驚いて思わず1歩後ろに下がる。
「なんで…」
「久しぶりに鳴海さんの墓参りしようと思ってな。恋人って三ツ谷か?」
「え……」
なんで分かったんだろうと、驚いていればけーすけくんは鼻で笑っていた。
馬鹿にしたようなじゃない…呆れたような笑いであり、俺の横を通ると缶ジュースを墓石の前に置く。
そんな彼の背中を見ながら唇を噛み締めた。
真一郎君の死に関わっていると知ってしまったせいなのか、上手く話しかけられない。
「オレが憎いか?」
「え?」
「シンイチローくんの死に関わってた事に対して。まぁ、憎いだろうな。お前、シンイチローくんの事兄貴みてぇに思ってたし。オレが憎いだろ」
「憎くないっっ!!!!」
「和泉……」
「憎くない…憎くないから……」
まるで自分に言い聞かせるかのように言ってしまう。
だってここでけーすけくんを憎いと思ってしまったら、後に引けない。
けーすけくんを憎いと思いたくない…思わせないでよ。
「何泣きそうな顔してんだよ」
「してない……」
「……んで、三ツ谷と恋人になったんだろ」
「なんで、三ツ谷先輩だって分かったわけ…」
あからさまに話を逸らしたけーすけくんに、なんで分かったのだろうと思い質問を投げかける。
だがけーすけくんは直ぐには答えずに傘をくるくると動かしてから俺の方を見てきた。
何時もと違う雰囲気と目つき。
前はもっと柔らかった印象があるのに、今は何か尖ったような雰囲気だ。
「お前と三ツ谷の雰囲気っていうか……。和泉見れば分かる…」
「幼馴染だから?」
「……まぁな。折角恋人出来たのに、なんでオマエ男の格好のままなんだよ」
「それは…」
「家のヤツらに言われてるから?オマエなんで家に抗わねぇんだよ。言われるまま言うこと聞いてよ、馬鹿じゃねぇの。自分の意思で動けねぇのかよ」
「……それは」
「オマエ、本当に男の格好でいてぇのかよ。家の跡継ぎてぇのかよ」
「男の格好して跡を継ぐって…約束したから…」
「おばさんとか?おばさんが望んで?」