The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
そんな彼に頭を下げてから、門を開けてもう一度見ればバイクのテールランプが見えた。
どうか安全に帰れますようにと三ツ谷先輩の背中を見送ってから門を潜る。
案の定家の中は電気がついていない。
最初は吉塚さんが付けていてくれたけど、俺が家に帰らない事が度々あったので付けないでいいと伝えていた。
「風呂、入って寝よう…」
風呂に入ってから部屋へと向かえば、体が温まってたせいなのもあり直ぐに睡魔が襲う。
ベッドへとダイブしてから目を瞑るってからふとある事を思い出した。
『和泉。貴方がもし好きな人が出来て、恋人が出来たらおばさんに教えてね』
『和泉が好きになる人ってどんな人かなぁ。ちゃんと教えるんだよ?』
そういえばおばさんと鳴ねぇこんな事を言っていたな…。
あの時は恋人とか好きな人とかよく分からなくて、首を傾げるばかりだった。
「…明日、墓参りに行こうかな」
墓参りに行って報告して…。
それからどうしようかなと思いながらも、いつの間にか俺は眠りについていた。
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翌朝。
軽井沢に行く本家全員を見送ってから、家に入れば誰もいなくて静かで心地良かった。
お手伝いさん達は休暇を渡しているのでいないし、他の人間もいない。
「静かだなぁ…。ずっとうるさいヤツら居なきゃいいのに」
まぁ明後日に帰ってくるけどね。
それまでの静かな一時を楽しもうと思いながら、俺は玄関を開けてから傘を広げた。
墓参りに行こうとしたが生憎の雨。
だが雨は嫌いじゃないので、傘を揺らしながら花屋とコンビニに向かう。
(花と飲み物とかを買えばいいかな…)
そして花屋では紫苑の花を買い、飲み物はお茶や紅茶を購入してから墓地へと向かった。
やはり雨のせいで人は殆ど居ないけど、その方が落ち着くので都合が良い。
「……来たよ。おばさん、鳴ねぇ」
神澤家ノ墓と掘られた墓石。
それを見ながら線香に火をつけてから、花を添えて飲み物も置いてから息をつく。
「ねぇ…おばさん、鳴ねぇ。俺、恋人が出来たよ……まさか俺なんかに出来るなんてね…。自分でも驚いてるよ」
小さな声で話しかけるけれど返事は無い。
それが少し寂しいけれど、二人は聞いてくれてるだろうかと思いながら墓石にまた声をかける。