• テキストサイズ

The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第4章 血のハロウィン


「末端冷え性なんです…」

「それと寒がり?」

「寒いの嫌いなんですよ」

「猫みてぇ」


猫とはよく言われる。
寒がりで家から出るのを嫌うのと、暖かいところによく居るからと。
あと性格も猫だとかよく言われるけれど…確かに猫かもしれない。


「そういえば、和泉の家タケミっちの家の近所だよな」

「そうですよ」

「じゃあ、タケミっちの家の近くまで行けば良いか。それまでボーとしていいけど寝るなよ?」

「寝ませんよ…落ちるから」


そんな話をしながら、ボーとしていれば何時の間にか武道の家の近くに来ていた。
もう少し先に行けば俺の家があるけれど、本家の人間はほとんど早寝だからこの時間帯はもう寝ているだろう。

そのまま永眠しとけばいいのにとか思いながら、そろそろこの辺で降ろしてもらおう。
近所の人が見てて変な事を言われても嫌だし。


「三ツ谷先輩、この辺で良いですよ」

「ここでいいの?」

「はい。ありがとうございます…送ってくださって」


俺の言葉に反応した三ツ谷先輩はバイクを止めたので、タンデムから降りてシートに座る彼の横に立つ。
少し不服そうなのは家の前まで送りたかったからだろう。


「家の前まで送らないで大丈夫か?」

「すぐそこですから。ありがとうございました、送ってくださって。遅い時間なのに」

「大事な恋人を1人で帰せれねぇだろ?」

「サラッとそんな事言わないでください…!」

「また照れてる。可愛いな」

「辞めてくださいって……」


なんでサラッとそんな事を言えるのだろうか。
羞恥心とかないのかなと考えながらも、家の方向を見れば明かりは付いていないようだ。
恐らく寝ている事にホッとした。


「じゃあ、ありがとうございました。おやすみなさい」

「和泉」

「はい?」


名前を呼ばれた事で振り返れば唇が重なっていた。
驚いて目を見開かせたが、直ぐに目を細めてから頬に熱が集まるのを感じる。

そして暫くしてから三ツ谷先輩の唇が離れていき、その時に息が漏れて『はぁ…』と声が出た。
あまり自分で聞かないような声に恥ずかしくなる。


「おやすみ、和泉」

「……おやすみなさい」


家へと歩き出し、途中振り返ればまだ三ツ谷先輩がいた。
ライトで顔が照れされているから優しい笑顔を浮かべているのが見える。
/ 624ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp