The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
この甘い三ツ谷先輩に慣れるだろうか。
慣れないといけないんだろうけど…暫くは慣れないし顔の熱は続くだろう。
早く慣れないとな……そう思いながらただただ三ツ谷先輩の背中を見続けた。
「よし、皿洗い終わったし送ってくな」
「ありがとうございます…」
「……まだ照れてんの?」
「慣れてないんだから仕方ないじゃないですか」
「その内慣れるといいな」
そして三ツ谷先輩は血抜きされて綺麗になったワイシャツを渡してくれた。
本当に綺麗に血が消えてる事に関心しながら、借りたスウェットは洗濯して返すと言ったが『別に良いって。それとコレ和泉のお泊まり用にしとくな』と。
「今度泊まりに来いよ」
「緊張して寝れなさそうなんですけど…」
「前は一緒に寝ただろ?」
「布団は別でした」
「んじゃ、一緒の布団に寝れるよう慣れような」
「絶対に慣れませんから!」
騒ぎながらも三ツ谷先輩と一緒に家の外に出ると、冷たい風が肌や頬を撫でていく。
佐野先輩と外に出た時より寒く、そろそろマフラーでもしようかと考えていればインパルスのエンジン音が聞こえた。
ライトが暗闇を照らしていて、三ツ谷先輩はインパルスに乗っており俺を見るとタンデムを叩いた。
何時も走る準備が出来たら三ツ谷先輩はタンデムを叩いてから、乗るよう合図をする。
「お邪魔します…」
「そういえば和泉の家行ったことねぇな…。悪いけど途中まで教えてくれる?」
「あ、はい…。でも家まで送らなくて大丈夫ですよ?」
「いや、家まで送る。ちゃんと和泉が家に入っていく所まで見なきゃ安心出来ねぇわ」
「……分かりました」
「じゃ、動くから腰に手ェ回しといて」
言われた通り腰に手を回せば、三ツ谷先輩が微かに笑った声が聞こえたのと同時にバイクが動き出した。
そしてやっぱり風の冷たさがキツくて、どうしようかなと思いながら三ツ谷先輩の背中に引っ付く。
(暖かい……)
背中から伝わる体温はとても暖かく、その暖かさを求めるように頬を背中に引っ付けた。
ポカポカする体温が気持ちよくて、満腹感もあったせいかウトウトとしてくる。
「和泉、寝るなよー?」
「はい…」
「……和泉の手、冷てぇな…」
赤信号になりバイクが止まると、三ツ谷先輩は俺の手を握った。