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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第4章 血のハロウィン


気付かないフリはしていた。
もしかしたら…なんて自惚れかもしれない考えもした、期待させないでと沢山思ったりした。
それも全部気持ちに蓋をしたかったから。


「コレでなら信用してくれるか?」

「え……んぅっ」


チュッ…という小さなリップ音が聞こえた。
そして唇には三ツ谷先輩の少しカサついた唇が重なっていて、目の前には目を閉じている三ツ谷先輩の顔。
驚き過ぎて体が硬直してしまっている。

暫くして唇が離れていき、同時に三ツ谷先輩の顔も遠ざかっていった。
まだ唇に触れられている感触があって、思わず指先で自分の唇に触れる。


「これで信用してくれたか?」

「……は、はい…」

「ん、なら良かった」

「でも……三ツ谷先輩、俺なんかを…好きになっていいんですか…?」

「俺なんかじゃない。和泉だから好きになったんだ…男装してる和泉も全部含めて好きなんだ。だから迷惑なんて思わねぇし、家で迷惑かけるとか上等だ」


そんな言葉をくれるから、そんな優しい笑顔を見せてくれるから俺は三ツ谷先輩がどうしようも無いぐらいに好きになったんだ。
なんだが今まで悩みに悩んでたのが馬鹿らしくなってしまう。


「俺、三ツ谷先輩が好きです……」

「ん、オレも和泉が好きだよ」


コツンと額同士がくっ付く。
近い距離どうしても恥ずかしくなって視線を逸らせば、三ツ谷先輩が視線を合わすように顔を覗いてくる。
こういう所は意地悪だよなと思うのだが…。


「なぁ和泉。オレと付き合ってくれますか?」

「………執拗いかも、しれないですけど俺で大丈夫なんですか?恋愛禁止じゃないけど、俺は男として生きなきゃいけないし家からの圧があるかもしれない。女の姿で一緒にはいれない……」

「さっきも言ったろ?家からの圧とか上等だよ。それに女とか男じゃなくても良い…オレは『神澤和泉』が好きなんだから。それで…返事はくれねぇの?」

「……俺、なんかで良いなら…宜しく、お願いします」

「俺なんかじゃない…和泉だから良いんだよ」


こういう所が好きなんだ。
俺が三ツ谷隆という人間を好きになった理由…男装した神澤和泉でも女の神澤和泉ではなくただただ『俺』を見てくれる所が好きになった理由。
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