The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第1章 泣き虫ヒーロー誕生
そしてマイキーはピタリと足を止める。
兄が眠っている墓石の前に誰かが立っており、ユラユラと線香の煙と煙草の煙も見えた。
一瞬誰だと体に力が入るが直ぐに彼の目が大きく開かれる。
「………イズミっち?」
「……あ?イズミっち??」
「その、声…」
マイキーの兄の墓石の目の前にいたのは和泉。
勝手に付けられた変な渾名を呼ばれた事により振り返った彼女は、後ろにマイキーとドラケンがいた事に驚いたようだ。
だが彼らも驚いていた。
彼女が何故マイキーの兄が眠る墓石の前にいて、線香をあげているのかと。
「イズミっち、ここで何してんの?」
「それは…俺も聞きたいですけど……。お世話になった人…従姉妹の恋人の墓参りに」
「え………」
するとマイキーが今にもこぼれ落ちそうなぐらいに目を大きく見開かせた。
その『従姉妹の恋人』という言葉に大きく反応を見せる。
「まさかイズミっち、“鳴海”の従姉妹!?」
「なっ……んで、その名前って……まさか、佐野さんってやっぱり真一郎君の弟さん!?」
「……おいおい、まじかよ…」
神澤鳴海。
彼女はマイキーの亡き兄である佐野真一郎の恋人であり、和泉の従姉妹であった。
まさかの鳴海の恋人の弟と鳴海の従姉妹。
その事実が発覚した事により3人は驚愕しており、和泉は思わず口を開いたまま。
開いた口が塞がらないという事はまさにこの事である。
「薄々似てるとは思ったし、苗字一緒だし鳴海から聞いてた名前と一緒だからまさかと思ったけど……!!会いたかった!!!!」
「うわっ!!!」
「あ、おいマイキー!!」
すると感動したのか、会えた事にテンションが上がったのか。
マイキーは和泉に飛びつきその体を強く抱き締めており、急に抱きしめられた和泉は目を大きく見開かせた。
「すげぇ!!すげぇよ!!」
「おいマイキー…一旦落ち着け。凄いのは分かるけど……にしてもすげぇ運命だな」
「ま、まぁ……確かに…。ていうか離してください……暑苦しい………」
鬱陶しそうな表情を浮かべる和泉と嬉しげに、未だに和泉に抱きついているマイキー。
そんな2人を見てドラケンは目を大きく開きながら『これはすげぇ運命だ』と感じていた。