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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第4章 血のハロウィン


何時かそんな事を言っていた真一郎。
そんな彼の言葉を思い出しながら、また懐かしさと辛さで涙が零れていく。


「兄妹……」

「そ、兄妹。だから何かあればお兄ちゃんを頼れ。エマでもいいぜ?アイツイズミっちの事妹のように思ってるから。オレとエマにじいちゃんはお前の味方だから」

「味方……」

「そ、味方。そばに居るからイズミっちもオレの側にいて…守るから、悲しませないから」


マイキーの言葉はまるで浸透するかのように和泉の心に広がっていき、何時の間にか涙が止まっていた。
そして和泉はゆっくりとマイキーから身体を離してから彼の顔を見る。

穏やかな表情。
その表情は真一郎によく似ていて、懐かしい気分になっていればマイキーは指で和泉の瞳に浮かぶ涙を拭ってやった。


「落ち着いた?」

「はい……なんか、色々すみませんでした」

「気にしてねぇから大丈夫。それじゃ、そろそろ帰ろ。三ツ谷がなんか晩飯作ってくれてるだろうし〜」

「……はい」


和泉はまだ知らない。
マイキーの『側にいて』という言葉が呪いのように自分の心に入り込んで居る事を。
そして囚われていくことになることを。


「晩飯なんかな〜」

「なんでしょうね。三ツ谷先輩のご飯、どれも美味しいですから……」


そう言いながらメットを手に取る和泉にマイキーはゆっくり振り返る。
さっきまで苦しそうにしていたけれども、三ツ谷の話になると穏やかな笑顔を浮かべていた。

存外彼女は顔に出やすいらしい。
その事に気付いたマイキーは、小さく笑みを浮かべてから『諦めるか』と心の中で呟いた。


「じゃ、帰るか」

「はい」


❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈

ー三ツ谷家ー


「お兄ちゃん!和泉お姉ちゃんとマイキーまだ帰ってこないのー?」

「まだー?」

「んー…どうだろうな。あんま遅かったら連絡してみるか」

「だな」


先にお腹を空かせたルナマナ達はオムライスを完食しており、自分達が風呂に入っている間に来てそのまま出掛けたマイキーと和泉を不貞腐れた顔で待っていた。
せっかく来ているなら声ぐらいかけてほしかったと思いながら。

そんな時、外であるバイクの排気音が聞こえてきた。
聞き慣れたその排気音にドラケンと三ツ谷は『帰ってきたな』と笑う。
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