The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
そう言いながら自分の肩を見ればだいぶ真っ赤に染まっていたので、俺が怪我したと思われても仕方ない。
だが先輩達は眉間に皺を寄せたまま…確かに、壱番隊副隊長が血を流したと言われたらそういう表情になってしまうだろう。
「千冬が怪我したのか…?」
「はい……」
「取り敢えず、オレの家に行こう。ここから近いし」
「だな。三ツ谷の家に行くか」
本当は会いたくなかったけどな…この3人には。
そう思いながらも俺は三ツ谷先輩の家に来てしまい、血がついているからルナマナちゃんが驚くかもと思ったが丁度二人はお風呂に入っていたようで居間にはいなくてホッとした。
「で、どうした?なんで千冬は怪我した」
着いたなりに佐野先輩は真面目な顔で聞いてきた。
その問に俺は顔を少し俯かしてから、脳裏に踏み絵としてけーすけくんに殴られる千冬の姿を思い出す。
同時に羽宮一虎の姿を思い出した、落ち着いていた筈の殺意が湧き上がる。
アイツは真一郎君を殺しておいて、自分が勝手にバイクを盗もうとしておいてから何故か佐野先輩を殺そうとしている。
訳が分からないただ憎い人間…。
「羽宮一虎」
「っ…!?」
「なんで、その名前を……」
「俺と武道の学校の3年なんですよ」
「……マジか」
三ツ谷先輩と龍宮寺先輩は驚いたような顔をしているが、佐野先輩は無表情だった。
怒りもなにも感じられない表情が逆に不気味に感じるのと同時に怖い。
「羽宮一虎に今日、突然武道と共に芭流覇羅のアジトに連れて行かれたんです。そしたらそこで松野が、けーすけくんに殴られていて踏み絵にされてました」
「踏み絵?」
「東卍から芭流覇羅に宗旨替えするならって…。そのあと証人喚問なんていうのをさせられて、けーすけくんが本当に東京卍會を抜けたかどうかを証言させられました。それが終わった後に松野を病院に運ぶ時におぶって、血が着いたんですよ」
「千冬、怪我は酷いのか?」
「そうですね…。入院は必要ないらしいですが、酷いは酷いですね……。血もかなり出てましたし」
恐らく暫くはかなり痛むだろう。
右目は包帯で巻かれていたし、片目が使えない状態はかなり動きにくい。
俺も1度片目に眼帯をつけたことがあるので分かる…視界を片方塞がれている状態は兎に角動きにくいものだ。