The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「なんか色々悪ぃ…金払って貰ったりして」
「別に良い」
薬局を出てバス停とタクシーが止まる所へと向かっていれば、松野がチラチラと見てくるのが分かった。
何が気になるのだろうか…そう思いながら視線だけを横に持っていく。
「何?」
「いや…なんか元気ねぇなと思って」
「……そっか」
「大丈夫か?」
「大丈夫……だと思う」
自分でもよく分からない。
大丈夫なのかそうじゃないのか…ただ真一郎君を殺したのが羽宮と共犯なのがけーすけくんと知ってから頭痛と吐き気は収まっていなかった。
殺意もじわじわと腹の底で煮詰まっている。
久しぶりの感情に気分が悪いのと、疲れているものだから嫌になってしまう。
「松野、お前大怪我してんだから早く家帰れよ」
「え、あ…おう」
「タクシーで帰れよ」
そう言ってタクシーの運転手に声をかけてから、松野をタクシーに押し詰める。
そして財布を取り出すと1万を松野に渡す。
「え!?い、1万も要らねぇよ!?」
「それで帰れ」
「あ、でも!」
「良いから。お願いします」
タクシーの運転手に声をかければ扉が閉まり、困惑したままの松野の顔を見ながら走っていくタクシーを見送った。
小さくなっていくタクシーを見てから、ゆっくりと歩き出し家に帰る事にする。
裏口から入れば服に血がついてる姿も見られないだろう。
このワイシャツはもうダメだから捨てないとな…と色々考えながらフラフラと歩く。
(気持ち悪い……)
吐きそうだ。
そう思いながら口に手を当てて、吐き気を抑えようとしている時である。
「和泉?」
「……え」
「イズミっちじゃーん!!」
「よう、偶然だな」
「三ツ谷先輩に佐野先輩と龍宮寺先輩……」
嫌な時に会ったな…と思いながらも、知った顔を見て何故かホッとする自分がいた。
だが嬉しげにしてい先輩達は直ぐに目を見開かせて、三ツ谷先輩が俺の肩を掴んでくる。
「お前、血がついてるじゃねぇか!しかも顔色悪ぃし…!!」
「怪我してんのか!?」
「え、びょ、病院!?」
「あ、いや…これ俺の血じゃないんで……」
「え?イズミっちの血じゃなきゃ、誰の?」
「松野です。松野おぶった時に着いたんですよ…だから俺の血じゃないんで落ち着いてください……」