The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「重い……」
ポタッと汗が落ちる。
制服のワイシャツが濡れる感覚があるのは汗ではなく、松野の血であることは直ぐに気が付いた。
肩がじわりと赤く染まっていてこのワイシャツはもうダメだろう。
「ここから……っ、病院まで、距離があるな…」
これじゃあ日が暮れそうだ。
しかも病院が閉まるかもしれないと考え、近くにある公園に向かうとベンチに一旦松野を寝かす。
そして携帯を取り出してからタクシーを呼ぶ事にした。
こっちの方が早い。
だがタクシーの運転は驚くだろうな…血だらけの男と制服が血だらけになってる奴がいるのだから。
座席を汚さないようにしないと…。
「うっ…ぐっ」
「松野……お前、なんであそこにいたんだよ」
ふと疑問に思った事を投げかける。
何故、松野は芭流覇羅のアジトにいたのだろうか…それが謎に思いながらタクシーを待つ。
(けーすけくんについて行ったのか?それとも俺と武道のように連れて行かれたのだろうか…)
どっちにしろ踏み絵にされる為に芭流覇羅のアジトにいたのだろう。
そう思いながら血だらけの顔をした松野へと視線を投げた。
「お前も不憫だな……」
そして10分も経たない頃にタクシーが到着して、乗り込めばやはり運転手は驚いていた。
座席を血で汚したら弁償すると伝えてから病院に向かってもらう。
「はぁ……松野、生きてるか?」
「ぐっ…」
「生きてんな…」
時折失神した松野に声をかけながら、生死を確認していれば直ぐに病院に到着。
料金を払いもし座席が汚れていたら連絡してほしいと、電話番号を書いた紙を渡してから病院へ。
直ぐに看護師達に事情を説明してから、松野は治療室へと運ばれていった。
怪我の具合の状態によれば入院かもな…と待合室でボーとしながら、時間を気にせずに居ると1人の看護師が近寄ってくる。
「神澤さん。松野さん意識が戻りましたのと、治療も終わりました」
「そうですか…」
「どうぞ、診察室にお入りください」
「自分、アレの親族ではないですが…」
「付き添いという形でなら構いません。どうぞ」
「はあ…」
まぁ、怪我の具合とかも聞いておくか。
そう思い診察室に入れば、看護師の言う通り意識が戻っていた松野は困惑した顔で椅子に座っていた。
「神澤……え、ここ…」