The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
真一郎君は強盗が入ってその際に襲われて亡くなった。
そう、おじいさん…万作さんから聞いていたけどまさか羽宮とけーすけくんが原因で死んだなんて知らなくてしかみ盗みに入ろうとしてだなんて。
今まで何も知らなかった。
ただ、ただ真一郎君を殺した犯人は捕まっていると聞いていたから早く死ねばいいのになんて思ってたけど……。
その原因の一人がけーすけくんだなんて…信じたくなかった。
「鳴…もしかして、鳴海さんの事?」
「和泉は、鳴海さんのイトコなんだよ」
「へぇ!オレ会った事あったけど優しい人だったよなあ…死んじまったって聞いたけど。そっかぁ和泉のイトコだったんだ。知らなかったなぁ」
ニコニコと笑う羽宮に殺意が湧く。
真一郎君を殺した張本人が今、目の前にいる…今ここで殺してやろうかと拳に力が入り唇を噛み締めていれば血が滲んだのか口の中が鉄錆の味がした。
「一虎が庇ってくれたからオレは年少に入らずに済んだ。オレは一虎が出所するのを待ってたんだ」
なんで笑えているんだろう。
けーすけくんは、真一郎君の幼馴染でもあるのに…なんでそんなに笑えるんだ。
何でそんな奴の側にいようとするんだろう。
佐野先輩は今までどんな思いで、けーすけくんを東卍に置いていたんだろう。
どんな思いで自分にバイクをあげる為に、自分の兄の店に盗みに入り兄が死んだ原因の幼馴染と接していたんだろうか。
(ああ…頭が痛い。殺してやりたい…羽宮を今すぐに殺してやりたい)
何かが体中を蠢くような感覚がある。
こんな殺意を抱いたのは何時ぶりなのだろうか…その殺意がけーすけくんまでにも向きそうだ。
「いいね、場地。そういう事ならマジで大歓迎だ。ホレ、これが芭流覇羅の“特攻服”だ」
修二が投げた上着をけーすけくんは受け取ると、東卍の特攻服の上から羽織った。
その背中には芭流覇羅の異名である首の無い天使のイラストな描かれている。
「花垣!!マイキーに伝えろ!!」
「1週間後の10月31日。配車場にて芭流覇VS東卍…決戦だ!!」
結局けーすけくんを連れ戻す事は出来なさそうだ。
いや、俺が今けーすけくんわ連れ戻そうという意思が無くなっていた。
怒りと悲しみと何かが交じっている今の状態で、けーすけくんと居れば俺は間違いなく手が出てしまうだろうから。