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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第4章 血のハロウィン


「え!?少年院って…捕まってたんですか?」

「“アイツ”のせいでね」

「「あいつ?」」

「ホラ、もうすぐそこ」


アイツとは一体誰なのだろうか。
嵌められて捕まったのだろうか、それとも何か別の理由があってなのだろうか。
そう思いながらも羽宮一虎……羽宮先輩について行く。

そして暫くすると廃墟となったゲーセン前で羽宮先輩は足を止めた。
落書きやシールなどが貼り付けられた壁に、薄汚れた壁に人が寄り付かなさそうな雰囲気。


「ゲーセン?」

「もうとっくに潰れてっけど」

「ここが、芭流覇羅のアジトなんですか?」

「うん。ほらこっち、入りなよ」


羽宮先輩は扉を開けて入っていってしまう。
そして俺と武道は壁にある落書きに目が止まった。
首の無い天使の落書き…確か山岸が芭流覇羅は首の無い天使と呼ばれているとか言っていたのを思い出す。


「“首の無い天使”…芭流覇羅の異名」

「なんで首の無い天使なんだろ」

「た、確かに…」

「おーい!何してんの?早く入って来いよ」

「…すみません。すぐ行きます」

「あ、ちょ、和泉待って!」


ゲーセン内に入った途端思わず顔を顰めた。
あちこちから漂ってくる煙草の匂いと、酒の匂いに香水の匂いが建物内に充満している。
臭いなと思いながらも、質の悪いクラブと同じだなと思いながら歩き出せば武道も慌てて付いてきた。

東京卍會との雰囲気と全く違う。
和気あいあいとした雰囲気も無く、そして部外者である俺と武道が来たせいか目線が煩い。


「臭いな…」

「皆煙草ばっか吸ってるからなぁ。にしても和泉って聞いてた通り正直なんだな」

「聞いてた通り……?」

「うん」


誰に聞いたんだろうか。
もしかして修二だろうかと思っていれば、近くから『ゴッゴッ』という何かを殴る鈍い音が聞こえてきた。
その音はずっと鳴り止まず響いていて、音の先には人だかりが出来ている。


「何の音…?」


そう思い人だかりを避けた時、視界に飛び込んできたのは特攻服を着て馬乗りで誰かを殴っているけーすけくんだった。
顔中には血がついていて、拳は血で赤く染まっていて地面にも血が飛び散っている。


「何コレ…」

「一虎君…何やってんスか?コレ?」

「何って…“踏み絵”だよ」

「踏み絵って……っ!!!???」
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