The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「うん」
うんって…爽やかな笑顔浮かべて返事する内容じゃない気がするのだけど。
絶対この男ヤバイし常識人ではないなと思いながら、何とも言えない表情を作る。
「一虎君になんか文句ある?」
「いや…」
この折られて平然とできる奴も異常者だ。
普通折られたらこんな平然と一緒には居られないだろうに。
それでもこうしているという事は完全なる異常者か…支配されているかだろう。
どっちにしろ羽宮一虎は異常者。
やばい奴に絡まれたなと思いながら、今から芭流覇羅のアジトに行くなら修二がいるのだろうかと思った。
(修二がいるかもしれないし…もしかしたらけーすけくんもいるかもしれない。もし上手くいくなら武道がけーすけくんを連れ戻せるかもしれない)
でも上手くいくだろうか。
けーすけくん東卍に戻りそうにないし、俺が言ってもあんな感じだったし…。
「緊張するなって。皆に会わしてやっから」
「皆…」
「そ、皆!」
チラッと武道を見ればとんでもなく緊張している顔をしているし、教室からはタクヤ達が顔を覗かせている。
気になるみたいだが怖いからこっちには来ないようだ。
「早くしろよ、タケミチと和泉!」
行くしかないかと溜息をついて歩き出せば、武道が窓の外で何かを見ていた。
何を見ているのだろうかも思い同じような窓の外を見れば、橘が友達と帰っている。
未来でまた死んでしまった橘。
もし今回稀咲を追放するのに失敗したら、また彼女は死んでしまうだろう。
(そうさせない為にも…けーすけくんを連れ戻して、稀咲を追放しないとな)
そして学校から出ていき、途中で鞄を持ってきてない事に気付きタクヤにメールをしておいた。
武道と俺の鞄を家に持って行ってほしいと。
「あの…羽宮君…?」
「ん?一虎でいーよ」
「……一虎君。一虎君ってウチの3年生なんスよね?」
「うん」
「あの…一虎君みたいな有名人がウチの中学にいたらもっと騒がれてると思うんスけど…」
「……オレ1年の一学期しか学校行ってねーから」
「へ?」
「休学でもしてたんですか?」
「違う。オレ、少年院にいたんだ」
少年院という言葉に眉がピクリと動く。
てっきり休学でもしていたのかと思えば、まさかの少年院いたなんて。
何か少年院に入れられるような事をやらかしたのだろうか。