The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「しかも和泉は手伝いを禁じられてる…」
「うん…。しかも芭流覇羅とモメふまでって時間制限付き」
「そんなんいつモメるか分かんねぇじゃん」
「今日だったら…」
「南無三タケミチ。骨は拾ってやる」
確かにいつ芭流覇羅とモメるかは分からないのだ。
抗争の日にちも教えられていないし、もし今日起きたりすれば武道がヤバい。
それに稀咲はずっと東卍に居ることになってしまうし、最悪な未来となってしまう。
「でもオレ、正直東卍の内部事情とか全然知らないし。“芭流覇羅”とかも何?ってレベルなんだよなー。最近知ったのは場地君が和泉の幼馴染だったて事ぐらい」
「俺も正直よく分からない。元々不良とかそういう興味無いし」
「オイ“不良辞典”」
「あン?しょーがねーなぁ。説明してやるよ」
山岸は通称不良辞典と呼ばれている。
暴走族に詳しくてよく話をしてくるが、興味がない俺は毎回聞き流していた。
だがこういう時は役立つよなぁと思っている…本人に言えば煩いぐらいに怒るだろうけれど。
そして山岸は黒板に向かうと、白チョークを手にしてから文字を書き出した。
東卍の文字と佐野先輩の渾名が黒板に並ぶ。
「東京卍會。略して“東卍”は総長マイキー君に、副総長ドラケン君。その下に5つの部隊。それぞれの部隊に20人ぬらいの構成員、計100人から成る巨大暴走族グループなんだ。ここまで分かってるな?」
「「へー知らなかった」」
「マジで?オマエらそれでも不良?」
「俺は不良じゃないんだけど…」
いや東京卍會に属したからもう不良か。
なんて思いながら、呆れ顔の山岸は『仕方ねぇな』と言いながら溜息をついた。
「オレの聞いた話だと、元参番隊隊長のパーちん君が捕まって副隊長のぺーやん君は弐番隊に入ったらしい」
「え?じゃあぺーやん君は三ツ谷君の下についたって事?」
「うん」
「うげっ……マジかよ」
「同じ隊かー。苦手なんだよなーぺーやん君」
「同じく」
初めて会った時から林先輩は苦手。
しかもあの8・3抗争でもっと苦手になったものだから…まさか同じ隊になるとは運がついていない。
だが関わらなければ良いかと思いながら大きく溜息をついた。
だが驚いた。
林先輩はそのまま参番隊の副隊長かと思ったが、移動する事になったとは知らなかったものだから。