The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第1章 泣き虫ヒーロー誕生
「喧嘩強ぇ奴なんていくらでもいるんだよ。でもな“譲れねぇモン”の為ならどんな奴にでも盾突ける奴、大切なモンの為なら命を張る。オマエらみたいな奴はそーいねぇ」
マイキーとドラケンは微笑みを浮かべながら、ゆっくりと歩き出した。
そして武道は何処か嬉しそうな表情ではあるが、和泉は直ぐに『ハッ!』とした表情になる。
自分は女である。
それもマイキーとドラケンは分かっているのに、何故チームに入るよう勧誘しているのかと思い2人を呼び止めた。
「あの!!」
「んー?」
「俺、女ですけど…それでもチームに勧誘するんですか?」
「言ったじゃん?オレの兄貴の恋人も暴走族のチームいたし、そういう信念を持つイズミっちなら大歓迎」
「そーいう事だ、考えとけよ。タケミっちにイズミっち」
それだけを言うと2人は背を見せて行ってしまう。
2人の背中を見ながら和泉はそれだけの理由で?と思いながらも見つめる。
「なぁ和泉」
「ん?」
「マイキー君が言ってたお兄さんの恋人さんってさ……鳴海さんに似てるな。なんか」
「……うん」
とある人物の名前に和泉はゆっくりと目を伏せる。
そして手を白くなるまで握り締めていれば、武道は眉を下げながらもマイキー達が歩いて行った場所へと視線をやった。
未来で聞いた犯罪組織の2トップになりそうじゃない。
犯罪者になりそうな人間じゃないな…とこの過去でのマイキーを見てそう感じた。
「なんか、オレマイキー君が未来で犯罪者になるなんて思えないんだよな」
「犯罪者になりそうな感じはないけど…。だけど何かあって犯罪者になったんだろうな」
「うん…」
「まぁチームに誘われたし、これでチームに入ったら稀咲鉄太との接触を止めやすくなるな」
武道が入るならば自分も入らなければ。
傍にいて手伝って守るんだ…と和泉はそう思いながら白くなるまで握り締めてた手を見つめる。
(似ていた…。うんうん話を聞いた人物と私が知っている人物似すぎてる。まさか……)
そう思っていると和泉はとある人物に会いたくなった。
寂しいより恋しいと似ている感情は混み上がってきて、少し息を吐いてから武道の方を見る。
「悪い。俺用事出来たから行くわ」
「あ、分かった…。じゃあな!」