The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
けーすけくんの鋭い目に言葉が出ない。
まるで何かを見透かされたような瞳が嫌で、顔を背けながら乱れた呼吸を整える。
そして荒らされた心も何とか落ち着かせた。
「急に、なに…」
「気になっただけだよ。何時になったお前は、お前らしく生きるんだろうなって」
「……自分らしく…」
「悪ぃ、意地悪な聞き方した」
そう言ってけーすけくんは俺の頭を撫でる。
何時もは子供っぽいのに、こういう時だけ何故か大人っぽく年上なんだと思う。
そして暫く撫で続けたけーすけくんは無表情のまま、俺の事を見てきた。
見透かされたようなその瞳が嫌で話題を無理やり変えようと決める。
「けーすけくんは、高校行きたいとかあるわけ?」
「あ?高校?」
「勉強ここまで頑張ろうとしてる訳だし…」
「……オレ、ペットショップの店員になりてぇ」
「けーすけくんらしいね」
動物好きな彼らしい答え。
特に猫が好きらしく、小さい頃からよく猫と戯れているのを見てきた。
それにけーすけくんは動物に好かれやすいらしく、猫や犬にはよく懐かれていたのを見てきたものだ。
「ペットショップの店員か…。動物慣例の高校か、農業高校とかもいいかもしれない。そこから専門学校行ったりして、お店を開くのも良いし…他の店で店員になるのもいいかも」
「そっか…。高校、行きてぇな」
「その前に、次は留年しないようにしないとね」
「…うす」
「そういうと時は、反論せずに素直に返事するよな。けーすけくんって」
まぁ普段からけーすけくんは素直な性格なんだけど。
なんて思いながら、なんとか話を反らせた事に内心ホッとしながら交互にペヤングを食べていった。
そして昼が過ぎるかぐらいの時間帯になり、俺はそろそろ学校に行く事にする。
短い時間ではあったが、けーすけくんはなんとか苦手な問題は解けるようなった。
凡ミスもしなくなったし、恐らく教え方次第でけーすけくんは点数は上がるし覚えてもくれる。
「サンキューな、べんきょー教えてくれて」
「このぐらいお易いものだよ」
「なぁ、和泉。オレ……高校、行けると思うか?」
「行けるよ。ちゃんと勉強していけば」
「そっか」
何故かけーすけくんは寂しげに笑った。
そんな笑顔を浮かべた理由は分からないけれども、何故か悲しそうで寂しそうな笑顔を浮かべている。