The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
また先手を打たれてしまった。
これじゃ武道を手伝えないな…と思いながら溜息をついていれば佐野先輩は笑みを浮かべている。
隣では三ツ谷先輩は苦笑中。
「じゃ、オレ帰るから。ちゃんとやれよ?タケミっち」
「は、はい!」
「じゃあね」
ヒラヒラと手を振りながら歩いていく佐野先輩を見送りながら眉間に皺を寄せる。
どうしても東京卍會には稀咲の力が必要なのだろうかと…アイツにどんな力があるのだろうかと思った。
それに、何故稀咲はオレを自分の元に置こうとするのだろうか。
分からない…何もかもが。
それに稀咲の名前とあの顔は何処かで知っているような気がして堪らない。
会ったのはあのカラオケの時が初めてな気がするのに。
「和泉、オレも帰るけどどうする?」
「あ…俺は武道と帰ります」
「そっか。じゃあまた明日な」
「はい。気をつけて帰ってくださいね」
「おう。タケミっちもまたな」
「はい!」
そして三ツ谷先輩も帰っていき武道と俺だけが武蔵神社に残っていた。
武道はその場にドカッと座ると空に浮かんでいる丸い満月をみあげていて、俺も隣に座ってから見上げる。
「で?12年後の未来で何があった訳?」
「和泉……」
「俺見て泣いたり、稀咲を思わず殴ったりするような事があったんだろ?」
「……銭湯前でも言ったけどヒナと和泉が稀咲に…東京卍會に殺されたんだ」
ゆっくりと語る武道の話を聞いてまた驚愕した。
12年後の未来ではやっぱり東京卍會は犯罪集団であり、しかも龍宮寺先輩は死刑囚。
しかも橘を殺したのは美容師になったと思った千堂であり、橘が乗っている車に車で突っ込み車が爆発して死亡。
同時に橘も死亡した事。
そして俺も殺された事。
しかも稀咲に指示された人間に殺された事や、稀咲が佐野先輩を崇拝して憎しみに変わっていき佐野先輩の大事な物を奪いたいと思っている事。
「………龍宮寺先輩救ったからと言って成功じゃないんだな」
「うん…」
「というか俺、稀咲に憎まれてるんだな。こっちではそんな風には見えないから未来で何かがあって憎まれるようになったか。しかも佐野先輩が俺を大事にしるから尚更殺したい…?よく、分かんないや…」
佐野先輩が俺を大切にしている。
その言葉がよく分からず、乾いた笑みしか出てこなった。