The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「タケミっち。場地を“芭流覇羅”から連れ戻してくれ。オレ、アイツの事大好きなんだ」
その表情と瞳だけでけーすけくんの事が本当に好きなんだと分かってしまう。
慈愛が籠ったその瞳は微かにやはり寂しさがあるようで、なんとも言えない気分になった。
「頼まれてくれるか?」
「ハイ!!マイキー君の頼みならもちろん!でも…一コだけオレからも頼み事をしていいっスか?」
「ん?何?」
「……稀咲を、稀咲を東卍から外してください!」
「あ?」
「なんであんな奴東卍二入れたんスか!?理由は説明できないんスけどアイツはヤバイんです!!アイツは…稀咲は…この先絶対東卍をダメにしますよ!!」
武道の叫び声が夜の空間に響いた。
未来で稀咲のせいで東京卍會が犯罪集団になっている…なん
言える訳もない。
だが理由は言えずに苦し紛れに武道は言いながらも叫んでいた。
これで佐野先輩がなんて返答をするのだろうか。
だが下手したら武道が危ないかもしれない…総長である佐野先輩が稀咲を入れた。
その相手を抜けさせろと言っているのだから…と心配になりながら見ていると…。
「いいよ」
「……え!?いいの!?」
(良いのかよ!?)
思わず心の中で叫んだ。
あまりにもあっさりと承諾した事に驚きながら佐野先輩を見ていれば彼は武道をジッと見ていた。
「近いうちに芭流覇羅とぶつかる。それまでにオマエが場地を連れ戻せ。オマエが稀咲より役に立つ奴だと証明しろ」
やっぱり簡単には行かないかと思いながら佐野先輩の顔を見て少しゾッとした。
圧がある目と雰囲気は、何時もの佐野先輩とは違って別人に見えてしまう。
「稀咲がやべー奴なのはオレもわかってる。同時に稀咲の“力”も認めている。東卍にはこの先稀咲の“力”は必要だ。オレに貢献しろタケミっち。オレに交換条件わ出したんだ、失敗したら…殺す」
低音の声と言葉に背筋が震える。
この人は本気で言っている…もし武道が失敗すれば本気で殺しそうな気がして息を飲んだ。
だが武道だけじゃ恐らくけーすけくんを連れ戻す事はできない。
俺もけーすけくんを連れ戻すのを手伝わなきゃ。
手伝えばなんとかけーすけくんを連れ戻す事が出来るかもしれないと思った時だ。
「三ツ谷!!イズミっち!!」
突然俺と三ツ谷先輩の事を呼んだ佐野先輩に驚いた。