The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
慌てたように解散していく隊員達を見ながら、失神している武道をどうしようかと悩む。
運ぶには運べるけど多分キツいな……そう思っていれば、佐野先輩がこちらにやって来た。
「タケミっち、そこで寝かせといて。話があるからさ」
「あ……はい」
「イズミっちもね」
そういえば話があると呼ばれた事を思い出し、取り敢えず武道は寝かせたままにする。
殴られた顔とかは腫れるだろうな…と思いながら、背中を向けて歩いていく稀咲の背中を睨んだ。
武道を殴った事は何時か倍返ししてやろう。
そう思いながら見ていれば、視線を感じて目線を斜めに向ければ龍宮寺先輩が見ていた。
「…なんですか」
「お前とタケミっち、稀咲の事嫌いなんだな」
「はい」
「即答……」
嫌いだ。
顔を知らない時から嫌い…武道の未来を狂わせたヤツであり、武道と橘を傷付けた奴なのだから。
そして今回の事で尚更嫌いになった。
「アイツと会った事あんのか?」
「……ええ」
1回だけ、あのカラオケを行く時に何故かずっと俺を見てきていた時に。
何故あんなに見てきていたのか、そして俺に言ってきた言葉の意味全てが分からない。
だが言葉からして、どうせ他の奴らと同じ権力とか金に名声等が欲しいだけなのだろう。
あんな悪意と気持ち悪さが籠った目を見れば分かる。
「ふーん…。ま、オレは帰るな」
「はい」
「思ったけどイズミっちって、タケミっちの事になるとブチ切れるよな。すげぇ大事なんだな…タケミっちの事」
「大事ですよ。命を懸けて守りたいぐらい…だから武道を傷つける奴は消したい…」
自分でも狂ってるとは知っている。
だが武道を傷付けられる度に怒りが湧き上がって、傷付けた奴らを殺したくなってしまう。
消したくて二度と武道の目の前に現れないようにと…。
「イズミっちって…意外とやべぇな」
「自分でも自覚してます」
「……三ツ谷にコレ勝ち目あるかぁ?」
最後に龍宮寺先輩はよく分からない言葉を言ってから帰っていき、その場には俺と武道に佐野先輩だけとなった。
そしてふと電話にメールか何かが届いていたことを思いだし、ポケットから取り出せば修二からメール。
何時ぶりの連絡なのだろうか。
そう思いながら、メール内容を佐野先輩に見られる訳にもいかないと思い他の所で見る事にした。