The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第4章 血のハロウィン
「ハハ。今、腹に力入れたろ?」
そう言うとまた稀咲は腕を振り下ろそうとしたので、直ぐにその腕を掴みギリギリと音が鳴りそうなぐらいに掴む手に力を入れる。
このまま折ってやろうか…そう思う程に力を入れた。
「なんだ?神澤和泉君」
「馴れ馴れしく呼ぶな」
「酷いな」
「お前に名前呼ばれると虫唾が走るんだよ。武道から離れろ……」
一際手に力を込めれば稀咲の顔が苦痛で歪む。
そして後ろに投げるかのようにして手を放してから、失神している武道に近づきしゃがむ。
ちゃんと息はしているしただ殴られた衝撃で失神しただけのようだ。
生きている。
このぐらいで死にはしないだろうけれども、ちゃんと息をしているのかが怖かった。
「頭脳と力と名誉を持っている君のような人間が、なんでそんな男とつるんでるかよく分からないな」
「お前に分かってほしいとは思わないね」
「君は価値のある人間と居れば、尚更その力は磨かられるだろうに……」
先程から馴れ馴れしく話しかけてくる稀咲の言葉を聞きながら、ゆっくりと立ち上がってから睨み付けた。
さっきから本当に癪に障る。
「さっきから何が言いたい」
「何故、無価値な人間達とつるんでいるのかオレには理解できない」
「……武道は無価値じゃない。ずっと見て見ぬふりしてる人間達の中で唯一手を差し出してくれた。何も知らないクセにしったような口を聞くなっ!!」
武道の何が分かる、オマエみたいな人間に。
見て見ぬふりする大人達の中で、距離を置いて綺麗事しか言わない大人と子供達の中で…唯一手をの差し出してくれ、本家の人間達に俺の為に怒ってくれたのは武道だけ。
それ以外にも沢山助けられた。
体も心も武道などれだけ救われ来たか…そんな事さえ知らない奴に武道のことを『無価値』と言われたくない。
「そこまでだ、お前ら」
「副総長…」
「龍宮寺先輩……」
「稀咲は何を考えてるか知らねぇけどそれ以上言うならオレも黙ってはいねぇぞ。イズミっちはその殺気納めろ…周りの奴らが完全に脅え切ってる」
そう言われて階段下にいる隊員達を見れば、青ざめたような表情をして俺を見ていた。
知らぬ間に殺気が出ていたようで深く深く息を吐いてから、また武道の元に行ってからしゃがむ。
「今日の任命式は終わりだ!!お前ら解散しろ!!」