The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
「タケミチ君…」
「ちゃんと調べて…次こそはヒナと和泉を助けるんだ」
武道の瞳は怒りと悲しみと決意が染まっていた。
東京卍會に奪われた二人の大切な人の命を次こそは助けるのだと。
絶対に東京卍會を変えるのだと。
そして月日が流れ2017年10月20日。
和泉の葬儀も終わり、ナオトから音沙汰が無いと思えば突然連絡が来たのだ。
「音沙汰ねぇからどうしたのかと思ったよ」
音沙汰が無く心配していれば、武道は何故かナオトに拘置所に来るよう呼び出されたのだ。
何故拘置所なのか分からずに面会室へと通され、武道はパイプ椅子に腰掛ける。
「こんな所に何の用?」
「調べてたんですが…今の東卍に龍宮寺堅は存在していませんでした。かといって死亡した記録もない。……捜してもいないワケです。龍宮寺堅は今、死刑囚なんです」
ガチャッと扉が開き武道の目の前には、頭を剃り揚げ手錠を付けられたドラケンが現れた。
まさかの光景に武道は大きく目を見開き、ドラケンは無表情のままパイプ椅子に座る。
「久しぶりだな“タケミっち”。無事でよかった」
酷く懐かしそうに笑顔を浮かべるドラケンに、武道の瞳にじわりと涙が浮かんだ。
目の前の光景が嘘であって欲しいという気持ちと、何とも言えない気持ちが心を覆い尽くす。
まさかドラケンは生きていたけれども死刑囚になっていたとは。
そんな事想像なんて出来なかった、考えることもなかった…だから驚きは言葉に表せないぐらいであった。
「ドラケン君っ」
「初めまして。橘直人です」
「コイツのおかげで面会できたんです」
「……そっか。で、用は?」
「オレ…知らなくて。ドラケン君が殺人犯して死刑囚だって…。何があったんですか?なんでドラケン君が殺人なんか…東卍はどうなっちまったんですか?」
「そういえば、イズミっちがお前に東卍の情報が行かないようにしてたな……。お前を東卍にはもう関わらせたくないからって……。タケミっちの事になると昔から凄かったからな…アイツ」
初めて知った事実に武道は目を見開かせる。
関わって欲しくないというのは和泉本人から聞いていたが、まさか情報が行かないようにしていたのは知らなかった。
「……タケミっち。オレは自分のした事を後悔してねぇ。ここにいるのも当然の報いだ」