The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
遺書という言葉に武道は真っ赤な泣き腫らした目でナオトを見上げた。
幼馴染を殺した男が何を書いてるというのだろうか…どんな言葉を残したのだろうか気になる。
ナオトはなんとなくそう思っているのかもしれないと思い、手帳を開く。
現場の物を持ち帰れない。
なので遺書に書いてあった事を簡潔にまとめて、手帳に書いたようだ。
「男は東京卍會の下っ端構成員。男の遺書には『人を殺す度に精神がすり減った。もう殺したくないと言えば稀咲さんに家族を殺すぞと脅された。だがもう限界でこの仕事を終えたら死ぬ』……。そう書いてありました」
「なんで……なんで和泉を殺すのを最後の仕事にしたんだよ!!!!なんで!!!なんで!!!」
「タケミチ君…」
「なんで…なんだよ……」
ボロボロと武道の瞳からは涙が溢れ出す。
目の前で大切な愛しい人を亡くし、目の前で大事な幼馴染を殺されて武道の精神はすり減っていた。
「なぁ、ナオト…。もしかして和泉を殺すよう命じたのって稀咲なのか…?その男稀咲の命令で人殺ししてたって…」
「ええ。稀咲の指示のようです…遺書には続きがあって『稀咲は酷く神澤和泉を憎んでいて、殺したがっていた』とも書かれていました」
「…なんで稀咲が……?オレが帰った後の未来で何かあったのか?」
武道が過去にいた時は和泉と稀咲の接触は無かった。
だがこの未来では彼女は稀咲に何故か憎まれ殺害されてしまっている。
和泉と稀咲。
この二人の間に何があったとのだろうか、武道が未来に帰った後過去では何が起きていたのか。
「そういえば和泉さん、12年前のハロウィンに全てが変わったって言ってましたね……」
「ハロウィン…。ハロウィンに東京卍會で何かが起きて今の東京卍會が出来たって事だろ…」
「詳しく調べた方がいいですね…。それよりタケミチ君」
「ん?」
「大丈夫ですか…?明後日は和泉さんのお通夜で次の日はお葬式がありますが…」
事件の為和泉は1度死亡解剖をされている。
なので明後日はお通夜でその次の日が葬式…立て続けの葬式に武道のメンタルは大丈夫なのだろうかとナオトは心配していた。
「大丈夫と言ったら嘘になるけど、くよくよしてられねぇよ…。シャキッとしねぇと」