The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
日向の母と別れた後、2人はナオトがいる庭園へと向かい椅子に項垂れるように座っている彼を見つけた。
泣き止んではいる…だが今にも泣きそうな苦しそうな表情のまま。
「千堂敦について調べました。今回の彼は…結婚して子供もいました」
「え?アッくんが!?和泉、知ってた…?」
「ああ…。子供の写真も送られてきたりしたよ……だからアイツは反社なんかじゃなくて幸せに暮らしてると思ってた」
「……なんで家族がいるのにこんな事を?」
幸せに暮らしていると、反社とは稀咲とはもう関係性がないと思っていた。
だが日向を殺したのは…彼女が居た車へと自動車で突っ込んだのは千堂。
何故彼は日向を殺したのか…。
それが謎であり、家族がいるのに何故こんな事件を起こして死んだのかと疑問しかなかった。
「家族は現在行方不明です」
「え!?」
「おそらく家族をダシに脅されていたんでしょう」
「家族を…っ」
「千堂は死ぬ間際に何か言ってませんでした?」
その問いに武道は顔を俯かせる。
酷くその顔色は悪く、そして絶望に近い表情をしながらポツリと武道は呟いた。
「ああ…また同じ…“東卍の言いなり”だって」
「……また東卍ですか…」
「和泉、どういうことなんだ?東京卍會は…本当は何か知ってんだろ!?あの時、話を逸らしたけど!!」
武道は泣きそうな顔で和泉の腕を掴む。
あの時東卍の話をした際に彼女は話を逸らしたのだ。
まるで武道には東卍の話はしたくない…知って欲しくないような風に。
そして先程東卍の名前が出た瞬間、和泉は目を見開かせてから何か知っているような苦しそうな顔をした。
きっと彼女は何か知っている…。
「東京卍會は…反社だ。稀咲が来てからどんどん堕ちていった…東京卍會も佐野先輩も」
「稀咲……」
「ある日を境に、東京卍會は堕ちていって暫くオレも在籍してた。でもある日三ツ谷先輩達に抜けるように言われたのと父さんにも抜けるように言われて、東卍から抜けた……」
「堕ちた…」
「その後は仕事に追われて、海外に飛んでいたから東京卍會については分からない。今どうなっているのかも…。話を逸らしたのはお前には東京卍會に関わってほしくなかったから……。お前と橘には幸せでいてほしかったから……言わなかった」