The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
「どうしたの?急に…」
ナオトは言われた通り車を止める。
そこは夜景が見えるデートスポットとして有名な川の近くの公園。
どうしたのだろうかと思っていると日向は振り向いている武道に微笑んだ。
「二人で歩かない?タケミチ君」
そして日向と武道は車を降りてから歩き出し、ナオトは近くの駐車場で車を停める事を伝えてから走り出す。
車内にはナオトと和泉の2人っきりであり沈黙が少しの間流れる。
「和泉さん、ありがとうございます」
「え?」
「タケミチくんに協力してくれて」
「特に何もしてないけどな。逆に俺は君に感謝してる…武道から聞いたよ。君が俺も救ってくれてって言ってくれたのを」
「姉さんを救おうとしてくれた方でもあり、姉さんの大切な親友の方でもありますから」
その言葉に和泉は苦笑する。
この未来の前の事は何一つ覚えてないし知らないが、日向を救うことは出来てなかったのだから感謝しなくても良かったのにと溜息をつく。
苦笑しながら窓の外を眺める。
夜景が通り過ぎていき、暫くすればパーキングエリアに到着した。
「ここで2人を待ってますか」
「そうだね。ちゃんと話出来てればいいんだが…」
ちゃんと離しているだろうか…そう考えていると車内に着信音が2つ鳴り出した。
和泉とナオトのスマホからであり、2人とも職場からの電話である。
「俺、少し外で電話してくるね」
「ボクも行ってきます」
車内から出た和泉は部下からの電話に出ながら、夜の公園を歩き出した。
暗いが街路灯がある為少しは明るく、近くの夜景で少し眩しいくらいである。
そんな公演を歩いているとふと嗅いだことがある匂いがした。
メンソールのような苦い匂い…和泉はゆっくりと目を見開き後ろを振り向く。
「……誰も、いない……」
匂いがした方を振り向いたがソコには誰もいない。
ただ匂いだけがして、和泉の脳裏に浮かんだのはとうの昔に絶縁状態になってしまった幼馴染の姿。
『社長?どうしました?』
「いや、なんでもない。それで、その書類はどうなったんだ?」
『それが…』
もしかしたら、アイツと同じ銘柄を吸っている人間がいたのもかしれない。
なんて思いながら歩いていた時だ。
「和泉」