The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
この本家親族嫌いは12年経っても変わらないな…と武道は苦笑を浮かべる。
そしてふと思い出した事があった…彼女の従兄弟である秋哉は今どうしているのだろうかと。
12年経っているのだからもう少年院から出ている筈。
もしかしたら、本家に居るかもしれないと思い武道はニコニコとしてから和泉に聞いた。
「なぁ和泉!秋くん元気?」
「……分からない」
「え?」
「出所してから直ぐに、親族達から本家に戻る事を拒まれてから姿を消した。分家の方にもいなくて、警察に捜索願い出したけど見つからなくてさ……今、何処で何してるのか分からない」
「……そう、なんだ…。ごめん…」
「お前が謝る必要はないだろ?ほら、行こう」
そういえば、この未来が変わる前も秋哉の生死は不明で和泉がずっと探していたのを思い出した。
これだけは変わる事はなかったんだな…と少し悔しさのような物が湧く。
そして駐車場に到着してから、武道は助手席に座り和泉は後部座席に座る。
ナオトと和泉のこのドライブの間でも話せるだろうと思ったが、既におかしいと感じた。
(話させる為にナオト君がドライブ提案したのに、なんでお前は助手席に座るんだよ……)
後部座席に座れと言ったが、武道が『ムリムリムリ』と言い出し結局和泉が後部座席に座ることになった。
そしてかれこれ20分以上は走っているが車内は無言。
((さっきと何一つかわらない))
無言の車内で和泉とナオトはまた思っている言葉が被っていた。
相変わらずの2人は頬を染めたままの沈黙だが、武道はミラーで後部座席を見ている。
(どういう事だ!?やっぱりあれはオレのプレゼントしたネックレス!!??)
日向の胸元で輝くネックレス。
あれは自分が12年前にあげたネックレスなのだろうかと、武道はドキドキしていた。
(まさかまだヒナもオレの事を!!??いや…!!たまたま最近買ったネックレスが同じデザインなだけかもしれない。うん!きっとそーだ。よかったーぬか喜びするトコだった!でも…もあ1度よく見ておこう)
なんて思いながら、もう1回だけ日向の胸元で光るネックレスを見ようとした時。
日向は窓の外の景色を見るなり、少しだけ目を見開かせてから身を乗り出した。
「ねぇ!車止めて!!」