The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
モジモジモジモジ。
武道と日向はお互いずっとモジモジしていて、何かを話そうとせず恥ずかしげに頬を染めている。
そしてナオトと和泉は2人してイライラとしながら、指で机を叩いていた。
「あ……あの…」
「はい!!」
「…いい天気だね!!」
「はい!!」
「「曇りです」」
冷めたナオトと和泉の言葉が重なる。
元恋人であり12年振りなのにも関わらず、2人はずっとモジモジしたまま。
流石のナオトと和泉も苛立ちが募り始めていた。
「2人とも久しぶりに会ったのに何なんですか?一言目が天気?積もる話があるでしょーに」
「いやっ…緊張しちゃって…。なに話せばいーのか」
「…久しぶりだし」
そこからまた沈黙。
まだ学生で初々しい反応をするならば良いかもしれない。
だが2人とも26歳のいい歳した大人でもあり、かれこれもうこの状態が20分以上続いている。
和泉はこの状態に溜息をついてから立ち上がり、やれやれと言った表情。
そして同じようにナオトも立ち上がろうとした。
「帰りますよボク」
「俺も」
「まままま待ってくれよナオト!!和泉!!」
「この空気に耐えれません。二人でやってください、サヨナラ」
「同じく耐えれない。二人でやってな」
「二人っきりになったらオレ心臓飛び出て死んじゃうよ?ナオトと和泉はオレを殺すの!?それでも親友と幼馴染かよ!?というか和泉も積もる話あるでしょ!?」
「親友じゃありません。離してください」
「幼馴染だけど見捨てる。俺はまた今度でいいし」
「ひでーよ!!!」
2人の足にしがみつく武道は、あまりにも冷たい言葉に泣き言を言いながらなんとか引き留めようとしていた。
だが無情にも2人は歩き出しており、ズリズリと武道は引き摺られる。
「オニ!アクマ!!」
「なんとでも言え」
「ぷっ」
「ん?」
「タケミチ君は変わらないね」
そんな武道を見て日向は可笑しそうに笑う。
彼女のその笑顔は何一つ変わっておらず、武道は少し照れたように頬を染めてからふとある物が目に付いた。
日向の胸元に光るネックレス。
四つ葉のクローバーのネックレスであり、それは武道が未来に戻る前に12年前の日向にあげたものであった。
(あれ?そのネックレス)