The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
「あれ?」
気付けば涙がボロボロと流れだしていた。
目の前に君がいる…あの頃と何も変わらない目をした君がいる。
それだけで武道の涙が止まることがなかった。
「……なにかあったの?」
「ううん!なんでもない。やべっ止まんねー」
「タケミチ君は、いつも急に来るね」
目の前には昔より髪の毛が伸びて大人っぽくなった、ある未来では死んでしまった日向の姿があった。
それだけで武道は嬉しさでいっぱいになり、また涙がボロボロとこぼれ落ちる。
「お前は…相変わらず泣き虫だな」
「へ…?」
「でも変わってなくてよかった」
「っ…!!!」
そしてまた1つ知っている声が聞こえ、日向の後ろを見て目を見開き涙が更に溢れ出す。
口が少し悪いけれども、その言葉はどこまでも優しくて自分を支えてくれていた人物。
「和泉っ!」
「なんで泣いてんの?武道」
昔と変わらない和泉がそこにはいて、自分の涙を相変わらず優しく指で拭ってくれる。
少し変わったといえばあの時より大人っぽくなった所と、髪の毛が黒から銀髪になっている所だろうか。
ある未来では死んだはずの2人が今、目の前で泣いている自分を見て呆れたように笑っている。
死んでいない、変わっていないその笑顔が嬉しくてたまらない。
「そろそろ泣きやめよ」
「ふふ。変わってないねぇタケミチ君は…ね、ヒナの部屋においでよ」
「うんっ…」
「ていうかお前、なんで橘の家の前にいるんだよ」
なんて言いながら、武道はまたマンションの中へと戻っていく。
チラッと途中で隣にいる和泉を見れば、昔と変わらずに男装をしているが銀髪に染めて耳にはピアスをつけていた。
(髪の毛染めてる…銀髪。なんか三ツ谷くんの髪色と似てるな……)
過去で出会った三ツ谷はシルバーパープルの髪の毛であり、片耳にはピアスをつけていた。
そのピアスと今和泉が付けているピアスが似ている。
「あ…結局戻ってきたんですね。タケミチ君」
「あ、あははは」
日向の部屋まで行けばそこにはナオトが居て、タケミチの姿を見るなり苦笑を浮かべた。
そして三人は日向の部屋に入った…そこまでは良かったのだが……。
部屋に入り武道と日向は顔を合わせる形で座り、ナオトと和泉も同じように顔を合わせるように座っていた。