The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
スマホに表示されたのは知らない番号。
一体誰なのだろうかと思いながらも、恐る恐ると電話に出てみるとスマホの向こうからは車のエンジン音が聞こえてくる。
『成功したんですね』
「あン?誰?」
『そして今、過去から戻ってきた』
その言葉にドクンと武道の心臓が強くなる。
スマホから聞こえてくる声はよく知っていて、さっきまでずっと連絡一覧で探していた人物。
「ナオト!?」
スマホからはナオトの声が聞こえたのだ。
何故かスマホの連絡先からは消えていたし、番号も知らなかったが確かに聞こえてくる声はナオト。
そしてスマホの向こう側にいるナオトは笑みを浮かべ、頬には小さな汗が浮かんでいた。
驚きと喜びに近いそんな表情だ。
『すごい!やってくれましたね!全てが変わってる!タケミチ君。姉さんと和泉さんに会いに行きましょう!』
「え!?」
ナオトの口から聞こえたのは、未来で凶悪化した東京卍會によって殺された2人の名前。
会いに行こう…それはつまり2人が生きているという事。
あの日タイムリープをする前、ニュースで無機質で感情が篭ってない声で原稿を読み上げるアナウンサー。
そのアナウンサーがあのニュースを報道していた。
『都内での東京卍會の抗争は激化する一方。ついに一般人まで被害が。死亡したのは神澤和泉さん、橘日向さん』
ずっと会わず一方的に連絡も断ってしまった幼馴染と、中学生の時唯一付き合っていた恋人が死んだというニュースを見ていた時。
(あの時はただテレビで観るしかできなかった。だけど今はヒナと和泉に会える。ヒナと和泉が生きてるんだ!!)
ナオトと合流した武道は彼の運転する車で、日向が住んでいるというマンションへと向かう。
今日は日向と和泉は自宅で飲み会をするらしく、ナオトはそこに向かいましょうと。
そう言われた武道は緊張と嬉しさがあった。
「調べてみたらそもそも、姉さんと和泉さんが死んだ事件すら起きなかったようです」
「東卍の抗争が?」
「はい。まさかタケミチ君が成功するとはなぁ」
「は?」
「だってタケミチ君クズじゃないですか?」
「テメー喧嘩うってんのか!?」
「ハハ。姉さんと和泉さんに会えるんだからいいじゃないですか」