The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
「四つ葉のクローバー?」
「ウン」
「……つけていい?」
「ウン」
日向は少し頬を桃色に染めながら聞いてみれば、そっぽを向きながら返事をされた。
どうやら照れているようで武道の頬を若干桃色に染まっている。
そんな彼に笑みを浮かべながら日向はネックレスを付け、武道はそれをチラッと見てからまたそっぽを向く。
恥ずかしそうに照れているように。
(本当は埋め合わせだねじゃないんだ。何か形に残したくて。“12年前(今)”の君とはもう会えないから)
「どお?」
「うん!似合う!」
「ありがとう。大事にするね」
胸元に光る四つ葉のクローバーのネックレス。
陽向は愛おしそうに、四つ葉のクローバーを見て更に頬を染めた。
「あのー。イチャイチャしてる所、申し訳ないんですけどー。何の用ですか?」
声が聞こえ玄関の方を見れば、呆れたような顔をしているナオトが立っていた。
どうやら一部始終を見ていたようで、姉とその恋人がイチャイチャしているのを見てゲンナリとしている。
そして一部始終を見られていた日向は顔を真っ赤にして、ギョッとした。
弟に見られた事は流石に恥ずかしかったようだ。
「いつからいたの!?」
「プレゼントよかったね」
「ちょっと!盗み見!?」
「呼ばれたから来ただけだし」
「声かければいいでしょ!」
2人の会話を聞きながら武道は少し嬉しそうに微笑む。
未来では死んでしまっていた日向がこうして元気そうにしているのが嬉しいのだろう。
そして武道は『ナオト』と呼んでから手を差し出した。
「握手!」
「……え?……タケミチくんは握手が好きなんですか?」
「ハハ。まーな!ヒナ!」
「ん?」
「幸せにな」
もうこの時代の彼女とは会えない。
そして今の自分が幸せにしてあげることはできない…だから、幸せになってほしいという気持ちでそう言った。
「何それ…?」
だが日向は今、目の前にいる武道が未来から来たとは知らないのでその言葉の理由が分からず苦笑を浮かべた。
そして武道はナオトの方へと振り向き、握手をするようにと手をまた差し出す。
「ナオト!」
「……ハイ…」
そして2人の手は握られる。
すると心臓が強く鳴るような、『ドクン』という大きな鼓動を感じた。
この感覚はタイムリープをする時の感覚である。