The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
ピクッと眉が動く。
芭流覇羅は確か佐野先輩が言っていた修二が副総長をしているチーム。
俺にそこに入れと言うのか…と目をゆっくりと細めた。
「芭流覇…ね」
「前にファミレスで言ってた、お前に会わせたい奴もいるし…。アイツがお前欲しいってうるせぇしな」
「アイツ?」
「そ、アイツ♡」
教える気はないんだなと溜息を零す。
恐らく修二が言う『アイツ』はこの自由奔放な修二を丸め込んだか、修二が気に入るような奴。
じゃなきゃチームには入らないだろうし。
どんな奴なのだろうか。
気にはなるが、芭流覇羅に入るつもりはないし直ぐに東京卍會に潰される可能性もある。
「芭流覇羅には行かない。もし入るとしても俺は東卍を選ぶ」
「よりによって東卍かよ」
「悪い?」
「悪いな。ホント…最近言うこと聞かねぇよなぁ。昔はあんなに『修二お兄ちゃん』って後ろちょこちょことついて歩いて来てたのに」
「いつの話だよ…」
相当昔の話だぞ、ソレ……と深い溜息をついていれば、また修二の手が頬を撫でてくる。
そして親指の腹でまた唇をなぞり指先が唇を割り、口の中に入ってきそうだなと思った時であった。
「おい、ネチネチ野郎。イズミっちから離れろ」
「…っ佐野先輩!?」
「ばはっ!マイキ〜じゃん♡」
「言っとくが、マイキーだけじゃねぇぞ」
「けーすけ君と三ツ谷先輩も……」
声が聞こえ目線を横に向ければそこには佐野先輩とけーすけ君に三ツ谷先輩がいた。
3人とも険しい表情をしながら修二を睨んでいて、修二は楽しげに笑いながら口から指を離した。
「和泉に近付くんじゃねぇよ」
「幼馴染なんだから別に良いだろ。オレにてめぇらの言う事聞かなきゃいけねぇ権利、何処にあんだよ」
「修二。さっきも言ったが俺は芭流覇羅には入らないからな」
このままじゃ喧嘩が勃発しそうだと思い、会話の間に入るようにそう伝える。
すると修二は面白くなさそうに、まるで飽きたかのような表情をしてから『あ〜あ〜』と。
そして背中を向けて歩きだしたので、少しホッとしたいれば修二はゆっくりと振り向く。
さっきの飽きたような顔ではなく楽しげな顔で。
「和泉。お前は何時か芭流覇羅に来ることになるから、楽しみにしとけよ」
「どういう意味だ…」
「さぁ?その時のお楽しみだな〜」